寝苦しい夏の夜、快眠誘うアプリ 生活改善にも一役
ドコモ・ヘルスケア(東京・渋谷)が提供する「ねむり体内時計」は、睡眠時間を記録することで生活改善を助けるアプリだ。
同社はNTTドコモとオムロンヘルスケアの合弁会社として、健康管理支援ポータル「わたしムーヴ」を昨年4月に開始した。個人向け簡易医療機器とスマホを利用して、体に関するデータを簡単に記録・蓄積できる(要登録)。集めたデータをもとに、25種類あるアプリから、ダイエットや運動に関する様々なアドバイスや関連情報を得られる。「ねむり体内時計」はその1つだ。
9つのパターン分析
「起床時刻」「就床時刻」などを入力して記録する。そこから「朝はのんびり」「夜更かし」「生活リズム乱れぎみ」など9つのタイプからアプリが適切に判断。分析結果に応じて、理想の睡眠に向けアドバイスを週1回表示する。
アプリ単体でも使えるが、オムロンヘルスケアから発売されているセンサー付き計測機器「ねむり時間計」とセットで使うとより正確に測れる。枕元においたねむり時間計が、寝返りなどによる寝具の動きを検出するからだ。
ドコモ・ヘルスケアでサービス企画部長を務める藤崎章好氏によると、「細かいデータまで登録してもらうことによって、(提供する情報の)『パーソナライズ化』が可能になった」と話す。アプリのダウンロード数は約14万で、利用者の多くは30代~40代のビジネスパーソンだという。
女性向けの昼寝スペース「おひるねカフェcorne(コロネ)」(東京・千代田)の店長で快眠ナビゲーターの塚島早紀子さんは「睡眠のリズムを改善するには、記録を取ることが一番」という。普段、睡眠時間を意識することは少ない。日によってばらつきがあるなどと自分の傾向を把握することが大事だ。
スマホに搭載されたセンサーを使い、就寝中の体の動きなどを検知して、睡眠の深さを計測・記録するアプリもある。
睡眠改善剤などを販売するエスエス製薬が提供する無料アプリ「ぐっすり~ニャ」は、より気軽に試したい人に向いている。オリジナルキャラクターの猫を着せ替えたり、交流サイト(SNS)を活用したりしてゲーム感覚で楽しく使ってもらうという狙いはあたり、ダウンロード数は約67万という。
2012年に発売されたエイチームの「快眠サイクル時計」は、起きやすい時間を予測する。シンプルさが人気で、現在アプリストアのダウンロード数は300万を超える。いびきや物音を録音できる「Sleep Meister」(有料版は100円前後)など、特徴あるアプリもある。
長時間の使用避ける
これらのアプリを利用する際の共通の注意点は、スマホのホームボタンを押して終了させないこと。就寝中にアプリが起動していないと睡眠の記録が取れない。
気になるのは、睡眠という行為とスマホ利用との相性だ。スマホやパソコン画面が発する青白い光を浴びると、「睡眠をうながすメラトニンの分泌が減ってしまう」(塚島さん)。就寝前に、つい記録をチェックしたり、SNSに参加したりして長く画面を見てしまうと逆効果だ。日によって変わる睡眠時間のずれは「2時間以内におさめることを目標に」(藤崎氏)。アプリのタイマーをセットしたらすぐに眠ろう。
(電子報道部 松本千恵)
[日本経済新聞夕刊2014年7月3日付]
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