快眠力高め、もっとキレイに 夕食の取り方に注意
自分の睡眠の型を知る
「今まで自分に合う睡眠時間は6時間と思っていましたが、朝はまだ眠かった。7時間にしたらパチっと目が覚め、日中も眠くならなかった。ご飯も同じ時間に食べたら体調がすごくいい」「すごーい」
3月上旬、東京・神保町で開かれた快眠教室。1週間の睡眠記録を付ける宿題で自分に合う快眠習慣を見つけた参加者の声に、他の参加者は驚いた。化粧品メーカー勤務の斎藤智子さん(39)は「快眠すると元気で肌の調子もいい。もっとキレイになれる方法を学びたい」と話す。
睡眠は脳や体を休ませ、生命を維持することに必要不可欠。美容面でも影響が大きい。「どんな美容液やクリーム、化粧水より一番効果的なのが睡眠」と話すのは赤須医院(東京都港区)の赤須玲子医師。自律神経の「副交感神経」の作用で、睡眠中は皮膚の毛細血管が開き、細胞に行く血流が増える。皮膚に栄養や酸素が行き渡ると同時に、新しい表皮細胞が作られるからだ。
「スムーズな寝付きが大切」と話すのは快眠セラピストの三橋美穂さん。睡眠にはノンレムとレムがあり、交互に現れ90~120分ごとに繰り返す。ノンレム睡眠は大脳が休息をとり、続くレム睡眠は脳が目覚めて体が休息をとる。最初のノンレム時に大脳が深く休めると、体の疲労回復や新陳代謝を促す「成長ホルモン」が分泌される。これが皮膚をはじめ細胞の修復に関係している。
適切な睡眠時間には個人差がある。そこで睡眠の状態を数値やグラフで示す睡眠計のほか、手軽なスマートフォンの睡眠管理アプリで傾向を知り、自分に合う睡眠法を探る人も増えている。エスエス製薬の「ぐっすり~ニャ」は2012年3月の配信開始以来、14年1月末でダウンロード数が59万に。スマホ内蔵の加速度センサーが寝返りの動きなどをとらえ、睡眠の深さを波形で示す。
自分に合った睡眠のパターンが分かれば対処もしやすい。女性専用のおひるねカフェの近くで働く女性(32)は昼休みに週1回利用する。「昨日はちょっと少ない、浅かったかなと思うとき、15分ほど昼寝すると午後からの肌の調子も全然違う」という。頭がスッキリするだけでなく、表情までイキイキしそうだ。
夕食遅いなら「分割」で
マットレスや枕などの睡眠環境を変える手もあるが、お金のかからない生活習慣の見直しから始めよう。
起床直後、カーテンを開けて光を浴びることが重要だ。24時間より長めにできている体内時計をリセットする。食事や入浴、就寝の時間もある程度決めて一定にしておくと改善しやすい。
食事で気になるのは夕食の取り方。遅い時間になると内臓の活動が終わらず安眠できない。女子栄養大学の助教、浅尾貴子さんは「抜くより分割食べがいい」という。退社前におにぎりやパンなど炭水化物を、帰宅後はおかずを食べる。ただ消化に時間のかかるのは脂、たんぱく質、炭水化物の順。浅尾さんは夕食が遅くなると牛乳入りのカボチャのリゾットを食べるという。
肌を意識するならサツマイモやジャガイモがおすすめ。「熱でも壊れにくいビタミンCがとれ、たんぱく質と合わせると肌の弾力を維持するコラーゲンを生成する」(浅尾さん)。
寝付きを良くするため、三橋さんは睡眠前に体をほぐすエクササイズをすすめる。無理せず、できることから生活に取り入れてみては。
(畑中麻里)
[日経プラスワン2014年3月15日付]
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