なぜ開けない ファイル形式の基礎知識
パソコンなどで扱うファイルの種類は多岐にわたる。ワープロソフトで作成した文書ファイル、表計算ソフトでつくったグラフ・表のファイル、動画ファイルなど様々だ。ファイルが破損したり、パスワードで保護されたりしているわけではないのに開けない場合はファイル形式が違う可能性が大きい。
ファイル形式とはパソコンなどで扱うデータを記録する際に使う特定の書式のこと。ファイル形式ごとに開くことのできるアプリケーションソフトが決まっている。このためファイルを作成したのと違う種類のソフトでは開くことができない。
例えばジャストシステムの文書作成ソフト「一太郎」で作成したファイルは米マイクロソフト(MS)の「ワード」では開けないのが一般的。それぞれ最新版以外にいくつかバージョンがあり、組み合わせによっては開くこともあるが文書のケイ線が崩れたりするなどのケースがある。
同じソフトでもバージョンが違うと開けないことがある。例えばMSの「オフィス2010」と「同2007」は「同2003」以前のバージョンで開くことができない。
相手から送られたファイルが開けず、対応ソフトが分からないときはまずファイルの形式を調べよう。その際に役立つのがファイル名の後ろに表示されているアルファベットだ。これを拡張子といい、一太郎なら「jtd」、表計算ソフト「エクセル」なら「xls」「xlsx」という具合。拡張子をネットなどで調べるとファイル形式や対応ソフトが分かることが多い。
マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」は「ビスタ」以降、拡張子をデスクトップやフォルダ内では表示しない設定になっている。その場合は設定を変更するといい。「フォルダオプション」画面を開き、「登録されている拡張子は表示しない」のチェックを外せばよい。米アップルの「マックOS」も設定変更ができる。
ファイル形式が分かれば対応ソフトを購入すればいいが、文書ファイルや表計算ファイルであれば購入以外の対応策もある。
一つは相手に違う形式で再送してもらうこと。例えば米アドビシステムズが開発したPDF形式なら、現在普及している文書作成ソフトや表計算ソフトの多くを閲覧することができる。同社は閲覧用ソフトをインターネットなどで無料配布しているので入手しやすい。
同じソフトで自分が旧バージョン、相手が新バージョンを使っている場合、旧バージョンで保存して送ってもらえばファイルを開くことができる。
動画や音楽ファイルはPDFに相当するものが見あたらないため、多くのファイル形式に対応する最新ソフトを購入するのが一案だ。無料ソフトもあるが、セキュリティーに懸念もあるので避けたほうがいいだろう。今年1月に無料の動画再生ソフト「GOMプレーヤー」に関連したウイルスの感染が国内で広がったのは記憶に新しい。
音楽や電子書籍などのファイルのなかには、同じソフトで同じバージョンでも再生できないものがある。著作権保護のため、購入する際にパソコンやスマホなど利用登録をした端末でしか再生できないように工夫されたファイル形式で、「デジタル著作権管理(DRM)」と呼ばれる。DRMの付いたファイルを他の人に送っても開かないことは覚えておきたい。
(テクニカルライター 佐藤 信正)
[日経プラスワン2014年3月8日付]
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