飛散量の予報も 花粉対策、アプリでしっかり
「目のかゆみなどが気になりだしたら、しっかり活用したい」。東京都渋谷区の会社員、水流愛さん(28)は仕事柄、外出が多い。NTTドコモのアプリ「あなたの街の花粉情報」でマメに天気予報をチェックしており、花粉予報機能にも期待をかける。
同アプリは1月下旬から、メッシュ地図で1時間ごとに2日先までの飛散予報ができるようになった。キャラクターが登場して、花粉を集めて仲間を助ける要素も加わっており「ゲーム感覚で、飽きずに使える」(水流さん)という。
画面にキャラクター
カンロの「くうきナビ」は、現在地の周辺エリアを全地球測位システム(GPS)機能で検索。スマホのカメラ越しに映る現在地を背景に、そのエリアの空気の状態を黄砂や微小粒子状物質(PM2.5)などを模したキャラクターを使いわかりやすく表示する。2月上旬に花粉にも対応した。
キャラクターが浮遊しているような画像をその場で撮影、SNS(交流サイト)に投稿できる。東京都新宿区の会社員、中村洸太さん(31)は無料通話・チャットアプリ「LINE(ライン)」を通じて「友人から『花粉飛んでるね』と返答があり、盛り上がった」と話す。アプリのエンターテインメント性を生かせれば、楽しみながら花粉への意識を高めることができるかもしれない。
環境省が14日発表した今春のスギとヒノキの花粉の飛散予測によると、総飛散量は北海道、中国・四国の一部、九州の一部で例年並みかそれより多くなる一方、ほかの地方は少なくなる見通しだ。
ただ、注意が必要とされる飛散量を超える地域は多く、油断はできない。くしゃみや目のかゆみなどのため仕事の能率が落ちる恐れがある。
異変を感じたら、手軽に調べることができるアプリもある。武田薬品工業の「症状・疾患ナビ」は、気になる症状・疾患の原因と対処法を紹介する。体の部位や症状名から検索して、体調を確認したり生活習慣を振り返ったりできるだろう。
協和発酵キリンの「花粉症ナビ」は鼻や目の症状、日常生活への影響度などについてカレンダーに記録できる。症状の変化をグラフにして確認することもできる。診断時の一助になるかもしれない。
子供向けやQ&A
サイトでも花粉対策の情報を入手できる。同アプリから移動した先のウェブサイトにある「花粉症ナビKIDS」では、子供の花粉症について解説している。子供が通院や服薬に前向きになれるように塗り絵などを用意する「親子のお楽しみコーナー」もある。
日本気象協会(東京・豊島)は、天気の状況を情報提供する「tenki.jp」内で、花粉と肌のトラブルに関するリポートの公開を始めた。厚生労働省の「花粉症特集」では、花粉症のQ&Aや治療法の解説のほか、安易な民間療法に対する注意喚起をしている。
一部の自治体は花粉量の少ない品種への植え替えや、花粉を出さない品種の開発を進めている。だが具体的な効果を実感するには時間がかかる。当面は自衛することになりそうだ。
心配ならば医療機関を訪ねよう。東京都健康安全研究センターは「アレルギー症状であっても、花粉ではなくハウスダストが原因の可能性もある」と指摘する。きちんとした検査を踏まえて、治療や予防の計画を立てたい。
(電子報道部 皆上晃一)
[日本経済新聞夕刊2014年2月27日付]
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