2013/9/17

朝・夕刊の「W」

月、倍率6倍の双眼鏡でも鮮明に

もう一つ、忘れてはいけないのが防寒着。これからの季節、昼は暑くても夜は急激に冷える。秋は風を遮るレインコートなどを、冬場にはさらに厚手の上着、手袋や帽子などを準備したい。

観測機器は持ち運びを優先して選ぶ。望遠鏡キットの付いた天体観測ガイド本「世紀の天体ショー観測用望遠鏡BOOK」を今月下旬に出版する宝島社の清水弘一さんは「女性初心者は携行しやすい双眼鏡がおすすめ。望遠鏡でも最初は倍率の高さより、軽さやコンパクトさを重視して選ぶ方がいい」と助言する。

初心者におすすめの観測対象は月だ。国立天文台の小野さんは「双眼鏡1つでもいろいろな見方が楽しめる」と話す。例えば、クレーター。環境のよい場所なら、倍率6倍程度の双眼鏡でかなり鮮明に見えるという。

最適なのは半月のころだ。クレーターの影が長く伸び、立体的に浮かぶ。細いときは暗いために見えづらく、満月のときもクレーターの影ができにくいので見えづらい。

三日月より少し細い時期、月の黒い影の部分がうっすら光る「地球照」も観測してみたい。地球に反射した太陽光が影の部分を照らす現象で、双眼鏡で見ると幻想的な雰囲気を楽しめる。

9月は「中秋の名月」の時期でもある。じっくり眺めれば、ほかにも新たな発見がありそうだ。月の満ち欠けは国立天文台ホームページでわかる。新月の時期の調べ方を知っておくと、他の天体を見るときにも役立つ。観測入門にはうってつけの天体というわけだ。

一方、9月は火星や木星などの太陽系惑星は観測しにくい時期。月観測に自信がついたら「すばる(プレアデス星団)に挑戦しては」と小野さん。双眼鏡でも20~30の星が集まる様子を確認でき、眺めていて楽しい。

ビクセンの岩城さんや宝島社の清水さんは「9月から経験を積めば『アイソン彗星(すいせい)』の観測に間に合う」と指摘する。11月末から12月に観測できる彗星で、今年最大級の天体ショーだ。自分に合う観測場所の選定や観測の基礎学習を済ませておけば、今年末は星空の下、貴重な思い出をつくれるかもしれない。

(堀大介)

[日経プラスワン2013年9月14日付]