■サプリで補う手も

科学的に効果が証明されているのは胎児・乳幼児期の脳の神経発達についてだ。順天堂大学の清水俊明教授は「不足すると認知・運動機能の発達が遅れる」と話す。日本人は欧米人より母乳に含まれるDHAが多い傾向がある。このためあまり注目されてこなかったが、ここ20年で日本人の母乳中のDHA濃度は20%減っているという。清水教授は「魚を食べない妊婦・母親はサプリメントで補ったり、早産の赤ちゃんにはDHA入りの人工調整乳を使ったりするなど不足にならないような工夫が必要だ」と指摘する。

このほかDHAでは血液中の中性脂肪を正常値に保つなどメタボリック(内臓脂肪)症候群の予防に効果があることが実証されつつある。精神的な不安や恐怖、ストレスの緩和などに効果があることも麻布大の守口教授の動物実験などからわかってきた。

女子栄養大の鈴木教授によると、1日のうち魚料理を1回食べれば、DHAを約0.7グラムとれ、EPAと合わせると約1グラム摂取できる。効率よく摂取するには、脂の乗った旬の魚を食べるとよい。

DHAやEPAは加熱で減ったり、変質したりしない。ただ魚を焼くと脂肪分は流れ落ちる。煮ると煮汁に出るため、調理前に比べて8割程度に落ちる。フライや空揚げではDHAなどが揚げ油に溶け出すため、元の5~6割に減る。刺し身やホイル焼きなどがお勧めだが、「調理法にこだわらず、メニューを豊富にして毎日食べるほうが大事」(鈴木教授)。魚が苦手だったり、不足しがちな人はサプリメントなどで補えば、1グラム以上の摂取も比較的容易だ。

リノール酸を含む植物油をとりすぎると、DHAやEPAの機能が妨げられることも頭に入れておこう。

(西村絵)

ひとくちガイド
《本》
◆魚油について詳しく知るには
 「本物だァ!!魚パワーの超薬効」(鈴木平光著 小さな森プロ)
《インターネット》
◆食事の栄養基準を調べるには
 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010)」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html)

[日本経済新聞朝刊2013年9月8日付]

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