パソコン・スマホで腱鞘炎 親指だけ症状出ることも出産後の女性もなりやすく

大切なことは手や指のトラブルに早く気づくこと。池上さんは「早期であれば、手を休めたり、腱や腱鞘に負担のかからない動作を心がけたりすれば自然と治る」と話す。パソコンでは、前かがみでひじを深く曲げたり手首より先を上に持ち上げるようにしてキーボードを打ったり、反動をつけて強くキーをたたいたりすると腱鞘炎になりやすい。背筋を伸ばしてゆったりひじを伸ばした状態でキーを打つといい。

■手術で治療も

また、ゴルフをやる人にも腱鞘炎が多い。原因は細いグリップを力いっぱい握りしめること。太めのグリップに変えるようアドバイスすると症状が軽減することもあるという。このほか握りやすい道具を選び、作業台の高さを調節するなど、日常生活にも手や指の負担を減らすヒントはありそうだ。

それでも症状を悪化させてしまったら早めに整形外科へ。中川さんは「軽症では炎症を鎮める塗り薬、貼り薬が進歩しているほか、かなり症状が進んだ場合でもトリアムシノロンというステロイドを局所に注入する治療で回復できるようになった」と話す。薬物治療に並行して、休憩時や夜間に手や指の関節を固定する「スプリント」と呼ぶ装具を装着し、炎症の回復を早める治療も有効だ。

ステロイド治療で効果が得られにくい人、授乳中の人などステロイドを使えない人の場合は、手術で治療する方法もある。池上さんは「腱鞘の一部を切除し、腱の動きを改善する手術治療が普及している。有効性が高く、術後の再発も少ない治療法なので、あまり心配せずに手の病気に詳しい整形外科医に相談してほしい」と話している。

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増える「手外科」の専門医

手や腕の病気は腱鞘炎のほか、テニス肘、野球肘、五十肩などの関節周囲の病気、手のしびれの原因となる手根管症候群などの神経の病気、交通事故による外傷など様々だ。

整形外科のなかでも、こうした手の病気を専門に扱うのが手外科(てげか)だ。かつては大学病院や地域の基幹病院など大病院の整形外科にしか専門医がいなかったが、最近では手外科専門医でありながら開業している医師も増えている。日本手外科学会のホームページ(http://www.jssh.or.jp/)では、手の症状で悩んでいる人のために、手外科専門医のリストを公開している。

(ライター 荒川 直樹)

[日経プラスワン2013年8月31日付]

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