足裏見せてそっと着地 老けて見えない歩き方
筋肉トレーニングも大切
上に糸でつられているイメージ
「はだしになって壁を背にして立ってみて」。元準ミスワールド日本代表でインプレックス(東京都渋谷区)代表の長坂靖子さんのウオーキング教室は、基本姿勢のチェックから始まる。壁に沿って立ち、耳の下に肩、肩の下に指先、指先の下に膝がくるようにする。
これが意外に難しく、「たいていの人は肩が前に出がち」(長坂さん)。胸を張って肩甲骨を下げるようにし、正面から見た時には、バストトップの2点とへそが三角形になるよう意識するとよいという。胸を張りすぎると腰が反り気味になるので、壁と腰の間は手のひら1つが入るぐらいにとどめる。また、頭が前に出てしまうと年齢よりも老けて見える。上に糸でつられているイメージを持つと防げる。
この姿勢のまま、股関節を前に出すように歩き始める。まずは、鏡の前に立って一歩踏み出して着地の練習から。足の裏が鏡に映るように引き上げてかかとをそっと下ろす。この時、内ももに力が入るのを感じつつ、足先が外側に開きすぎていないか、左右に開きの差がないかを確認する。
2歩目以降は、後ろから持ってくる脚の膝を、前の脚の膝の高さにそろえて踏み出す。その際には膝同士はかすかに触れ合う程度。後ろ脚は指の付け根を意識して床を押し出す。これが歩き方の基本動作となる。
多くの人は年齢とともに内ももなどの筋力が弱り、膝が開いてくる。両膝の触れ合いを意識しないと、右と左の脚ががに股に開く2直線歩行になってしまい、老けて見える要因になる。
靴を履いて歩く場合は、スニーカーやヒールの低いパンプスなどであれば、基本動作と同様に上半身の姿勢を保ったまま、脚を動かせばきれいに歩ける。ただ、7センチ以上のハイヒールの場合、「かかとの接地面積が小さく不安定なので、足裏をあまり見せない方がエレガント」(長坂さん)。
モデルのように直線をまたぐように歩くと、腰やお尻が左右にふれてしまう。直線の上に土踏まずが交互に乗るようにイメージするとよい。
手の振り方にも注意したい。「手は前に振り出すのではなく、むしろ肩よりも後ろに少し引くように振ると姿勢がよくなる。特にヒールの高い靴を履く場合は、重心が前にいき、猫背になりがちなので注意したい」と、医学的な観点から靴選びや歩き方を指導するフスウントシューインスティテュート(東京都台東区)の久保田美智子さんは助言する。
股関節・膝・腰を鍛える
美しく歩くにはトレーニングも必要だ。メディカルフィットネス研究所(東京都世田谷区)の太藻ゆみこさんがすすめるのは、股関節と膝、腰回りの体操だ。股関節の周囲にある筋肉を鍛えるには、片足立ちが効果的だ。あおむけになって両膝を曲げて、直径25センチ程度の運動用のボールを挟み、そのまま脚を左右に振ったり、ゆっくり回したりするのもよい。
膝については、椅子に腰掛け、太ももの前側の筋肉に力を入れて膝を伸ばし、足首も曲げる。お尻を締めておなかを引き上げる感覚を養うには、股間でボールを挟む訓練も有効という。腹筋とお尻の筋肉を使うことができれば、腰回りが強化できるので、前かがみにならずに歩きやすくなる。
また、自分に合った靴選びも肝心だ。久保田さんは「軽くて柔らかく、ゆるい靴を買う人も多いが、引きずり歩きや膝歩きの原因になっている」と指摘する。
足元にある程度の重みがないと振り子の役目が果たせないため、脚を交互に踏み出しにくくなる。引きずるか、逆に膝を高く上げてロボットのように着地する癖がついてしまうことにもなりかねない。
まず座った状態で、(1)履き口がぴったり合うか(2)5本の指が中で伸びているか(3)親指の爪が痛くないか(4)かかとのカーブが合うか――確かめる。
次に歩いてみて、(1)くるぶしが痛くないか(2)土踏まずが乗っているか(3)指のでこぼこが靴の表面に出ていないか――を確認する。「靴は幅で選びがちだが、縦の長さで選んでほしい」と久保田さんは話す。
(吉野真由美)
[日経プラスワン2013年8月24日付]
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