■携帯端末は顔の前 極力見ないと◎

次に直したいのは、1日3時間以上にもなったスマホの使い方だ。極力見ないように心がけ、急ぎのメールをチェックするときは見方を変えることにした。

おなかの前で見るとどうしても猫背になるので、顔の前で見る。この姿勢は右腕が疲れるため、左手で右肘を支える形にした。ずいぶん腕が楽になる。ただし「できるだけ見ないに越したことはない」(竹谷内さん)。

高い位置でスマホを見るようになると、やはり普段立っているときの姿勢も気になってくる。美月さんにきれいに見える立ち方を教えてもらった。

おへその下あたりにある「丹田(たんでん)」に力を入れて、次につむじを上から引っ張り上げられているようなイメージで背筋を伸ばす。「さらに肩甲骨を少し近づけるようにして、胸を張ってください」。確かにこうすると背筋が真っすぐになる気がした。

この状態を横から見ると、耳、肩、腰の中心、くるぶしが一直線になる。これが正しい姿勢だという。「家を出る前や、トイレで服装をチェックするときに姿勢も確認しましょう」

アドバイスに従い、正しい姿勢に挑戦してみる。しばらくすると、うれしいことに同僚から「姿勢、よくなりましたね」と声をかけられた。だが油断するとすぐ猫背に戻ってしまう。意識せずに正しい姿勢を保てるようになるのだろうか。

きれいな姿勢といえばバレリーナ。彼女たちは意識せずにきれいな姿勢を保っているのだろうか。世界五大バレエ団の一つ、アメリカン・バレエ・シアターで活躍する加治屋百合子さんは「自然に身についている部分もあるが」と前置きをした上で「常に『私はバレリーナだ』と意識して美しい動き、立ち居振る舞いをするように心がけている」と教えてくれた。

長年、バレエを続けている加治屋さんでも「油断すると猫背になってしまうので気をつけています」。簡単に身につくわけではなさそうだ。

加治屋さんは「よい姿勢を取る、というより『首を長くする』という意識を持つように心がけている」という。「『首を長く』と意識すると背筋がスッと伸び、肩の力も抜けて、ナチュラルな本当によい姿勢になれると思います」

記者のつぶやき
 美月さんが教える女子大生たちも「きれいな立ち方が身につくまでには3カ月、自然に立てるようになるまで半年はかかる」という。あきらめずに、背筋を伸ばして仕事に取り組むのが大切、ということか。
 医師の竹谷内さんによると「たとえ正しい姿勢であっても同じ姿勢を続けるのは体によくない」そうだ。スマホやパソコンは画面を見続けるうちに、あっという間に時間が過ぎていることがある。改めて気をつけたいと実感した。守るのは難しいけれど……。

(編集委員 大谷真幸)

[日経プラスワン2013年8月3日付]

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