旅の記録、アプリにお任せ 動画自動編集やBGM
旅で出合う風景や、家族、友人との楽しいひとときを動画や写真でたくさん撮りたい。でも編集は面倒――。そんな悩みを解決するスマートフォン(スマホ)のアプリが続々登場している。撮るだけで自動編集してくれたり、音楽と一緒に楽しめたり。手軽に使えるアプリは旅の必需品になりそうだ。
「写真感覚で動画が撮れて、しかも編集不要。旅の途中ですぐに確認できるので家族で楽しめる」。デザイナーのタムカイさん(33)は「QueuingCam(キューイングカム)」というアプリを重宝している。
数秒の動画が作品に
キューイングカムはiPhone(アイフォーン)で撮った複数の短い動画を自動でつなぎ1本に編集するアプリ。1回の撮影時間は0.5秒から3秒まで選ぶことができる。録画ボタンを押すと設定した時間だけ録画を行い、自動的に前の動画をつなげていく。例えば1秒ずつ撮った動画を60本つなげば、1分の動画作品ができあがる。
「わずか1、2秒の動画でも、旅行中の雰囲気や子どもの様子が写真より伝わってくる」とタムカイさん。ビデオカメラだとつい長く撮ってしまいがちだが、このアプリだと数分内の動画に収まる。移動中や宿泊先で手軽に確認できるのも強みだ。
ドライブ旅行中の風景を簡単に加工して楽しめるアプリもある。
ホンダの「RoadMovies(ロードムービーズ)」は短い動画をつないで27秒の動画を作成するアプリだ。1回の撮影時間によって撮影できる回数が変わり、1秒だと24、2秒だと12、3秒だと8回撮影できる。シネマモードなど9種類のフィルターを使って加工できるほか、映像を音楽に乗せて見ることができる。現在、BGMは14曲用意されている。
ドライブ中に撮った長時間の映像を自動編集するのがメルセデス・ベンツ日本の「DRIVING MEMORY(ドライビング メモリー)」。どこを走ったか、どんな風景だったのかを簡単に記録するアプリだ。アイフォーンで風景を15分以上撮影すると、1分のショートムービーに自動編集する。自動編集のため使いたいシーンを指定することはできないが、BGMは5曲の中から選べる。
富士重工業の「Drive Scrapbook(ドライブ スクラップブック)」は全地球測位システム(GPS)を使って、走った場所を自動的に記録する。動画には対応していないが、写真を撮った場所や立ち寄った場所をルート上に表示する。様々なデザインのテンプレートがあり、地図と写真を貼り付ければ、旅のスクラップブックが簡単に作成できる。
SNSで手軽に共有
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を既に利用しているなら、手軽に試せるアプリがある。米ツイッターが展開する「Vine(ヴァイン)」は、6秒間という短い動画を作成・投稿できる。投稿動画は繰り返し再生されるのが特徴だ。このループ再生機能を活用して、ユニークな動画を作る人も多い。
人気を集めるヴァインに対抗して、米フェイスブック傘下の写真共有サービス「Instagram(インスタグラム)」は6月、15秒間の動画撮影機能を追加した。静止画像と同様、動画も加工できる。これらのアプリはシンプルな操作で、その場で共有できるのが魅力だ。
どのアプリも設定された撮影時間は長くない。短い時間で印象的な動画をどう撮るか。タムカイさんは「人ばかり撮るのではなく、モニュメントや場所を示す看板、景色を挟むのがコツ」と話す。
スマホに高品質のカメラが搭載されたことで、動画や写真が気軽に撮れるようになった。撮影時の安全やマナーに留意して、この夏はスマホ片手に旅の思い出をたくさん残したい。
(電子報道部 河尻定)
[日本経済新聞夕刊2013年7月25日付]
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