ぽっこりお腹へこませ運動 歩きながら手軽に実践ドローイン 電車内や職場でも

■眠った筋肉起こす

これだけで腹だけ部分的にやせられるのか。「カギは筋肉の再教育にある」と全日本柔道連盟のトレーニングコーチを務める了徳寺大学の岡田隆准教授は解説する。人間は体幹を鍛えると動作が安定してケガなどを防げる。たくさん体を動かす生活を送っていれば、筋肉の緊張が持続され体幹が強くなる。一方、現代人の多くは体を動かす機会が減り、筋肉がゆるみがち。「ドローインで筋肉を鍛え、あるべき緊張を取り戻すのが重要だ」(岡田准教授)

腹部周辺にはコルセットのように取り囲む腹横筋や正面の腹直筋などがあり、連動して動く。腹をへこませると上半身が上下に引っ張られるような力が加わり、コルセットの腹横筋がぎゅっと締まる。腹横筋は普段はあまり意識して力を入れることがない。ドローインにより脇腹や背中に張りを感じれば、効果を実感できるという。

腹横筋は通常の腹筋運動では鍛えるのが難しい。腹筋運動では腹直筋が強くなるが、腹囲は絞りにくい。多くの人が「腹筋運動を毎日しても、腹だけはひっこんでくれない」と悩むのはそのためだ。ドローインを続けると筋肉が緊張状態を「自然なもの」と認識し、あまり意識しなくても引き締めた腹囲を保てるようになるという。

ドローインはあくまでも腹をへこませる運動でダイエットは主目的ではない。岡田准教授によると、20代の男子学生が1回30秒を1日10セット実践したところ、1カ月半で腹囲が約7センチ減ったが、体重はほとんど変わらなかった。ドローインは腹を引っ込めて筋肉や内臓を本来の位置に戻すための運動と考えよう。

植森氏は脂肪燃焼を目指す場合、「歩きながらのドローインならエネルギー消費量が増える」と話す。ただ、ドローインをすればすべて解決するわけではない。東京大学の石井直方教授は「あくまで一つのテクニックと考えてほしい」と呼びかける。メタボリックシンドロームなどで内臓脂肪が多すぎる人はドローインの効果にも限界がある。まずは適量の食事や運動を心がけ、内臓脂肪を減らすことが大切だ。

(山本優)

ひとくちガイド
《本》
◆筋肉の仕組みが学べる
「石井直方の筋肉まるわかり大事典」(石井直方著、ベースボール・マガジン社)
《インターネット》
◆生活習慣改善のコツを知るには
厚生労働省「メタボリックシンドロームを予防しよう」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/metabo02/)

[日本経済新聞朝刊2013年6月9日付]

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