最終回を読みたい連載中の漫画
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万人向け「長寿」の条件
毎月、多くの作品が終わり新作が生まれる漫画の世界で、何年も何十年も愛され続けている連載作品。誰しも話の行方が気になるところだ。漫画に詳しい書店員に最終回が読みたい大作漫画を聞いた。
1位になったのは「ガラスの仮面」だ。連載開始から35年以上経てもライバル対決は盛り上がり続け、飽きさせない。6位の「王家の紋章」もほぼ同時期に始まった作品で、それぞれ長年親しんできた女性ファンが応援している。
2位の「名探偵コナン」、5位の「ワンピース」、8位の「ハンター×ハンター」はいずれも少年誌の人気連載。テンポの良い展開で物語に入り込みやすく、子どもから大人まで楽しめる。4位の「ベルセルク」、7位の「ゴルゴ13」は青年誌連載のため、戦闘シーンなどが緻密に描かれている。
長期連載に共通する条件はあるのだろうか。マンガに詳しい竹内オサム同志社大学教授は「王道の展開や魅力的な人物像など普遍的な価値観を盛り込んでいる」と指摘する。激しい人気競争の中、恋愛や友情など万人が興味を持つ要素を取り入れる作品が多い。
さらに「子ども向けでも内面の心理が描けている」(竹内教授)など細部に独創性が発揮され、最新の技術や流行など時代の変化を巧みに反映している。
長期連載漫画は映像化されることが多い。最近は実写映画やテレビドラマの原作として注目を集めており、SF映画「GANTZ」、歴史ドラマ「JIN―仁―」などがヒットした。
今や漫画のジャンルは様々で、大人が読んで楽しめる作品も多い。人気作は海外で翻訳され支持を得ている。「漫画は苦手」という人も、年末年始に手に取ってみてはいかがだろう。
三国志・めぞん一刻…完結した名作も多く
すでに完結した大作漫画でも書店員おすすめの名作は数多くあった。手塚治虫「ブラック・ジャック」(秋田書店)は無免許の天才医師が数々の難病に挑む。人間ドラマに加え、患者と医者の関係など現代に通じる医療問題が見どころだ。横山光輝「三国志」(潮出版社)は中国・三国時代の英雄たちの活躍を描き、軍師や武将などのキャラクターが魅力的で、小説が苦手な子どもも簡単に物語に入り込める。
刺激のある作品が好きなら岩明均「寄生獣」(講談社)。人間に寄生する生物を通じ「人間とは何か」を問いかける哲学的なテーマながら、戦闘シーンなど見応えがあり、娯楽作品としての完成度が高い。恋愛物では高橋留美子の「めぞん一刻」(小学館)だ。主人公の青年とアパートの管理人との恋に加えて、個性的な住人たちとのやりとりも楽しい。
調査の方法 漫画に詳しい書店員に、現在連載が続いており(休載中の作品含む)、単行本で20巻以上刊行している作品の中から「最終回が読みたい大作漫画」を順位を付けて選んでもらった。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)
赤坂真実(三省堂書店)▽池本美和(オリオン書房)▽礒道まゆみ(書泉ブックマート)▽太田和成(あゆみBOOKS)▽小池由記(リブロ)▽柴田浩司(ブックス・ルーエ)▽渋谷孝(ブックファースト)▽竹下典宏(まんだらけ)▽徳永あけみ(有隣堂)▽林香里(TSUTAYA)▽日吉雄(まんが王)▽三木雄太(往来堂書店)▽八重田幸子(丸善)
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