イケメンにイメチェン 男のモテ服、女目線で指南
婚活用や仕事着…ネットでコーディネート依頼
顔写真の添付は任意
ベストにハーフパンツ、ハットをかぶりデニム素材のカジュアルなネクタイを合わせたおしゃれなスタイルでさっそうと現れたのは会社員の岩田基範さん(33)。この日のコーディネートは、実は全身"女性目線"で選んでもらったものだ。
岩田さんが利用したのがネットサービスの「ビモール」。運営はウェブ開発のグリーンランプ(東京・練馬)で、昨年7月に始めた。同社の野田貴大社長が「独立して私服で仕事をするようになって、自分のダサさに気づいた」ことから生まれた。開始から1年で800件の利用と想定を上回るペースで依頼がある。
希望者は応募フォームに身長や体重、服のサイズなどを入力し、任意で顔写真も添付。どんな場面で着るのかといった希望も伝える。私服勤務の岩田さんは「オフィスカジュアル」と注文した。
ビモールには本業がスタイリストの人のほか、服飾系の専門学校生、読者モデルやアパレル経験者などの女性が所属。利用者は希望のスタイリストを選べる。
その後、スタイリストとメールで要望などをさらにやりとり。注文後約2週間で、スタイリスト考案のコーディネートが自宅に配達されるという仕組みだ。料金は最低3万円からで、支払い金額の1~3割が手数料としてグリーンランプの取り分になる。
岩田さんは4万円で注文。「自分で選ぶと似たような服装になりがち。(ビモールで購入した服は)最初着るとき少し勇気がいるけれど、周りから『なんだか今日雰囲気違いますね』と反応があってうれしい」
ゲーム感覚で冒険
5月に利用した香港からの留学生の黄可為さん(26)は「自分では絶対買わない花柄のシャツが届いた。おそるおそる着たが、友達にほめられた」。自分のワードローブの写真を送り、合うコーディネートを依頼した。
「海外のリゾート地でプロポーズをしたいので合う服を」「妻との久しぶりのデートなのでいつもと違った格好を」――。女性ならではの視点を求めた依頼も多い。
例えば婚活パーティー向け。スタイリストの逢沢莉緒さん(27)はジャケットではなく、シャツにベストを合わせたスタイルを選んだ。「女性がどういう服装だったら好感がもてるかを考えて、かっちり気取りすぎないようにした。ただ、ほかの人と差をつけるために、異素材の特徴的なベストを選んだ」という。
従来のパーソナルスタイリストや買い物同行サービスは対面した上でのサービスが基本だが、ビモールはネット上でのやりとりのみの気軽さが受けているようだ。
ファッションジャーナリストの宮田理江さんによると「ファッション好きの人は、冒険したことのないスタイルを一種のゲーム感覚で注文できる」。一方、「洋服選びに自信のない人は店員やスタイリストと直接会うプレッシャーを感じることなく、『これで大丈夫、変じゃないですよ』と背中を押してもらえる」。
今後、"専属スタイリスト"をかかえるおしゃれ男子が増えるかもしれない。
(井土聡子)
〔日経MJ2013年8月21日付〕
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