離婚歴OKの婚活パーティー アツい「再婚市場」
相談所・式場大手が新サービス
50歳以上の入会者が急増
1月中旬、東京・新宿の宴会場で開かれた「婚活パーティー」に30~40代の男女約15人が集まった。主催は結婚相談所のツヴァイ。参加者は離婚経験のある人や、相手が離婚経験者でも構わないという人のみだ。同社の結婚相談所に入会しなくても1回4千円前後で参加できる。
「離婚歴OK」の婚活パーティーは10年に開始。12年7~12月の開催数は49回と11年同時期の約5倍に急増した。今も首都圏と大阪、名古屋を中心に月10回ほど開き、満席が多い。都内の40歳女性は「相手がこちらの立場を理解してくれるので子供の話題も切り出しやすい」と話す。
通常の結婚相談でも再婚目的の入会者が増えている。会員全体のうち離婚歴のある人は現在約12%。5年前より2ポイント弱増えた。15年ほど前に離婚した高知県の40代女性は娘が進学して家を離れたのを機に入会。「結婚経験があるほうが安心」と離婚歴のある人との出会いを希望し、現在の夫と11年に再婚した。
同社はこうした「再婚活」需要をにらみ、11年に50歳以上の入会者が対象のプラン「ビギンズパートナー」を導入。この年齢層の入会者数は2.4倍に膨らんだ。
シングルマザー&ファーザーはネット活用
同社の40代会員で結婚経験者は1割強。対して50代では男性の約3割、女性の約5割が離死別の経験があり、60~70代は割合がさらに高い。「50代以上は親戚などのしがらみが少なく経済力もある。老後を見据え『人生を楽しむ相手を見つけたい』と婚活には積極的」(同社)。50歳以上のパーティー参加者数の累計は、1年前の約2.7倍に増えた。
シングルマザー&ファーザーが相手探しに活用しているのがインターネット。ヤフーのサイト「ヤフー!お見合い」は女性会員の約15%が結婚経験があり、子供と同居している。月約4000円で「育児などの合間に婚活できる利便性が支持されている」という。
年の差で式を割り引き 子連れに配慮
再婚する中高年には改めて結婚式を挙げることをためらう人は少なくない。特にカップルの年齢差が大きい時、挙式に二の足を踏みがちだ。
そこに注目したのが結婚式場運営大手のテイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)。昨年12月、結婚式の費用から、年齢差分の比率の金額を値引きする「年の差割」キャンペーンを始めた。例えば10歳差があれば、費用の10%を割引する。
サービス開始前には「年の差婚」で話題になった加藤茶さん夫妻のトークショーを開催。キャンペーンを機に相談に訪れるカップルが増え、目標の「問い合わせ件数全体の1割」に近い水準で推移する。同社では「挙式をためらっていた人が思い直すきっかけになった」とみて、1月末までの予定だったサービスを2月末まで延長する。
子連れで再婚する男女にとっては挙式の準備が負担だ。国内外で式場を運営するワタベウェディングが一昨年始めた「パパママ婚サポートサービス」は、こうした不安を取り除き「子連れ婚」カップルの背中を押す。
例えば挙式前の打ち合わせは来店回数を通常の4回から1回に減らし、電話での相談を増やした。全国4カ所の直営カウンターには子供の遊び場を用意。電話相談の担当には子育て経験者を配置し、海外のチャペル周辺にある小児科医の場所なども紹介する。同社では「子育て中のカップルが抱く『結婚式の準備は大変』というイメージを無くしたい」という。
経験者、未婚者よりも結婚に意欲的
厚生労働省によると11年の全国の婚姻件数は約66万件と00年比で約17%減少した。そのうち夫が再婚の割合は全体の19%弱、妻が再婚の割合は約16%を占め、いずれも00年より3~4ポイント伸びている。
電通総研の大屋洋子主任研究員は、結婚未経験者は「自分の時間を失いたくない」と結婚をためらう傾向がある一方、「結婚経験者は人と深く関わることに抵抗が少なく、婚活を始めると、意欲的に取り組む傾向がある」と指摘する。
また、結婚歴のない人の間では、離婚経験者の相手に対する抵抗感も薄れているようだ。ツヴァイでは「婚活パーティー参加者の中には、離婚経験者は『一度失敗しているから気遣いができる』と考える人もいる」という。
リクルートブライダル総研の鈴木直樹所長によれば「再婚者は初婚者に比べ式を挙げる人が少ない」。だが男性が再婚で女性が初婚の場合「挙式の費用は初婚同士とほぼ同水準」(鈴木所長)だ。関連企業にとって再婚市場の開拓余地は大きい。
(菊池友美)
[日経MJ2013年1月25日付]
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