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厳しさを増す就職活動。学生たちの間では、会社の規模にこだわらず中堅・中小に志望先を広げる動きが出てきた。給料は大企業にかなわないかもしれない。けれど、「大きすぎない会社」ならではの良さもあるという。そこで実際に中堅・中小企業で働いている若手社員たちに話を聞いてみた。

仕事と野球の両立を

午前9時。企業向けの損害保険会社「日本共済」(東京・千代田)で2年目の社員による営業活動の報告会が始まった。そこに他の新入社員とともに出席する白石幸さん(23)の姿があった。

野球との両立を考えて会社を選んだという白石さん(先輩たちを前にプレゼン=東京都千代田区の日本共済で)

野球との両立を考えて会社を選んだという白石さん(先輩たちを前にプレゼン=東京都千代田区の日本共済で) 

2年目の社員が「全然相手にしてくれない社長が『高校のころ、部活でこの地元の学校によく来ていました』といったら、急に話に乗ってくれた」と報告する。先輩の苦労話は新入社員にとって立派な教材だ。「挨拶や雑談1つで、営業先との付き合いも全然変わってくるんですね」と感心しながら、メモをとる白石さん。社員50人のこの会社を就職先に選んだのにはわけがあった。

実は白石さんは都市対抗野球出場を目指す千葉県のクラブ野球チーム「YBCフェニーズ」の現役選手でもある。

日本体育大学を卒業するとき、プロはもちろん社会人チームからも声はかからなかった。そこでチームの監督のつてで「野球を続けながら勤められる会社がありそうだ」と薦められたのがこの会社だった。

日本共済は松田隆社長(59)の方針で、原則的に残業禁止。だらだら仕事をせず、時間内に仕上げなくてはならないという意味では厳しいが、野球の練習時間も確保したい白石さんにとっては絶好の環境に思えた。白石さんのほかにも野球との両立を目指し、齋藤達也さん(23)、土橋弘明さん(22)、伊藤清孝さん(22)の3人がこの春に入社した。

オフタイムは練習に試合

学生時代より、一振りにかける気持ちが強くなったという(都市対抗野球の予選で打席に立った白石さん)

学生時代より、一振りにかける気持ちが強くなったという(都市対抗野球の予選で打席に立った白石さん)

平日、仕事を終えた白石さんたちは自宅に帰り、素振りとランニングをこなす。週末にはチームの練習や試合に参加するというタイトな毎日だ。

野球仲間には有力なノンプロチームに進んだ者もいる。会社生活の半分は野球をして過ごす彼らと違って、野球に割く時間は限られている。しかし、そんな生活のなかでみえてきたことがあった。「野球だけをしていた大学時代と違って、素振り一回の中身が濃くなった。1本1本考えて振るようになった」という。

何時間でも練習できたときと違い、社会人となってからは1分、1秒の集中度合いが違う。「今はこの条件でも、野球だけしている人たちよりうまくなってみせる、という気持ち」。仕事で生まれたリズムがオフにも生かされつつある。

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