結婚相談所の過酷な現実 好きになれる人はどこに?
キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論
こんにちは。ライターの大宮です。僕は恋愛や結婚に関する取材活動をほとんどライフワークにしているので、結婚相談所を切り盛りする人たちと話す機会も少なくありません。そこでよく話題に出るのは、結婚相談所では、ちゃんと働いていてコミュニケーションも普通にできる30代の独身男性が希少であること。「とにかく男性を紹介して。無料でもいいからお世話したい。女性は足りているので要らない」と露骨に言われることもあります。
女性が考える「普通の男性」は30代前半までに同世代もしくは少し年下女性と結婚済みであることがほとんどで、残っている人には理由があることが多いようです。低収入、健康上の問題、親の介護、地方で実家暮らし(跡継ぎ)、結婚する気がない、コミュニケーション能力がない、などですね。結婚はしたいけれど無理はしたくないし仕事も生活も変えたくない、という女性には敬遠されてしまいます。男性以上に稼ぎのある女性が増えた現代では当然なのかもしれません。
化粧品メーカーで管理職を務めている関根直子さん(仮名、40歳)は、39歳のときに一念発起して結婚相談所に登録しました(前回記事はこちら)。「自分からはお断りをしない。同じ人に3回は絶対に会ってみる」という前向きな覚悟をして臨んだ直子さん。合計で6人の男性とお見合いをしましたが、想像以上に厳しい内容だったと顔をくもらせます。
「目も合わせようとしなかったり、こちらからお誘いメールを送っても返事もくれなかったり。知り合ったばかりでまだ好きにはなれないあなたに対しても私はあえて前向きに接しているのに、その態度は社会人としてどうなの? と疑問に思うことが多かったです」
社内の既婚男性とどうしても比べてしまう
直子さんは現在、管理職研修を受けています。同じ研修の場にいる感じのいい男性社員たちと、お見合いで会う男性たちを比べてしまうこともあるようです。
「ずっと東京にいる私たち女性と比べて、地方勤務で鍛えられて帰ってくる男性たちは迫力が違います。優秀なのにどっしり落ち着いているんです。さすが将来の経営層、という感じがします。もちろん、ほぼ全員が既婚者です」
結婚相談所に登録していた直子さんにとっては聞き飽きているアドバイスかもしれませんが、それでも一言だけ言わせてください。すてきに見える既婚男性たちは、仕事だけではなく、配偶者の女性との共同生活で成長した一面が必ずあります。子どもがいる場合はなおさらでしょう。独身の直子さんが探すべきなのは箱入りの宝石ではなく、野にある原石なのです。その石を自分好みに磨く過程を楽しむ気持ちも大切だと思います。直子さんによれば、原石を一つだけ見つけたものの、磨く段階には至らなかったようです。
「結局、お見合いを含めて3回会った男性は1人だけでした。その人が激しくアプローチしてくれたら私の気持ちも揺らいだかもしれませんが、そんなことはなかったのでお付き合いをするには至りませんでした。結婚相談所の人からは、『積極的にアプローチできるような独身男性は残っていないよ。みんな自信がないんだよ』と諭されましたが、なぜ私だけがピエロのように男性を持ち上げなければならないのでしょうか。納得できません」
職場ではリーダーとしてがんばっている直子さん。恋愛においては「引っ張ってほしい」「いろいろ教えてほしい」という末っ子気質は変わらないのです。ただし、最も出会いの可能性が高い社内では、男性と比べても昇進が早い直子さんから距離を置く人も少なくありません。目立ってしまうと嫉妬や羨望の対象になりやすいのですね。
「今の私を可愛いと思ってくれる男性は50代でも少ないように感じます。60代の役員クラスとか、70代の退職世代とか……。もともと恋愛偏差値の低い私ですが、最近は男性を好きになることすら忘れてしまいました」
一目惚れをしたりされたりするタイプではないと自覚している直子さん。趣味や仕事を通じて長く交流がある人をじっくりと好きになりたいのです。突破口は「向こうから好きになってもらえると私もすぐに相手を好きになる」という点。20代の女性だったら「悪い大人に気をつけなさいよ」とアドバイスしたくなりますが、40代に入った直子さんならば明らかな美質だといえます。その軽さ、大事にしましょう。
自分から好きになろうと思うと、周囲の立派な既婚男性を思い出したりして、ついハードルが上がってしまいます。そうではなく、「自分を好きになってくれる人ならばたいていOK」という大らかな姿勢でいれば、きっと良き人が見つかると僕は思います。もし相手が甘えたところがある頼りない年下男性だったとしても、今度こそちゃんとつかまえてくださいね、直子さん!(来週は新たなキャリア女子のラブストーリーをお届けします)
※「キャリア女子ラブストーリー」のバックナンバーは下記をご覧ください。
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フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京もしくは愛知で毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/
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