40歳・管理職 恋人は欲しいけど職場恋愛はしたくない
キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論
こんにちは。ライターの大宮です。「アラフォー」という言葉が生まれたとき、僕はまだ30代前半でした。「40歳にもなって愛だの恋だの言っているのはみっともないな。完全に中年だろ」と思っていたのです。あのときの自分をゲンコツでお仕置きしたい。大人だって恋をするし、むしろ恋するべきだ、とアラフォーになった今だからこそわかります。
好きな人がいると生活に張り合いが出ますよね。ちょっと嫌なことがあっても乗り越えられるし、いろんな人に優しくなれる気がします。既婚者の場合は、恋する相手が配偶者だと最高だけど、そうでないときでも胸の中で恋を育めばいいと思うのです。
気になるのは、大っぴらに恋愛できるはずの独身者のほうが元気がなかったりすること。一緒に飲んでいると、「5年以上恋人がいません。誰かを好きになる気持ちを忘れてしまいそうです」などと打ち明け話をしてくれる人もいます。
化粧品メーカー勤務の関根直子さん(仮名、40歳)もその一人。ただし、直子さんは生活全般に「元気がない」わけではありません。30歳を超えてからはプライベートでも仕事でも様々な変化があり、精いっぱいがんばってきました。恋愛をしている余裕が少なかったといったほうが正確かもしれません。30代・40代の読者の方にも、直子さんと同じような状況の働く女性はいるはずです。しばらく恋愛の話題を離れますが、直子さんの話を聞いてください。
激務で転職も考えたが、働きぶりを認められて
「女の厄年って言いますけど、30代前半は本当につらかったです。あまり予算がないのに忙しい部署で毎晩のように深夜まで働いていました。父が他界した頃だったので、週末は実家と東京の自宅の往復生活です。いつも体調が優れず、病院に行ったら『とにかく仕事を休みなさい』と忠告されました。うつ病にかかりかけていたのかもしれません。上司からも休むように言ってもらい、年末に1カ月ほど会社を休んだらようやく元気になりました」
四年制大学を出て新卒で現在の化粧品メーカーに入った直子さん。その会社で18年間働き続けており、自社製品には「わが子」のような愛着があります。それでもつらかった頃は転職を考えたそうです。
「自社製品が好きなので、同業他社に移る気はありませんでした。そうすると転職先は限られてしまいます。働きながら転職活動をするのも大変だったので、会社を辞めるのをやめることにしました(笑)」
直子さんが会社で働き続けることを決めたのには前向きな理由もあります。8期上の大好きな先輩社員から「関根は最近いい動きをしているよね、と同期の集まりで話したんだよ」と言ってもらえたことです。
「すごくうれしかったです。ずっと孤独感があったけれど、誰かが見ていてくれるんだなと思い直しました」
尊敬する先輩に認めてもらえる――。仕事の大きな喜びの一つですよね。その直後、直子さんはグループ内の別会社に出向となりました。管理職を目指す前の「武者修行」に出されたのかもしれません。直子さんの仕事ぶりを会社もちゃんと見ているのでしょう。
会社に対する直子さんの姿勢も変わりました。それまでは「公私をきっちり分ける」タイプで、同僚との飲み会はできる限り断っていたそうです。10年以上も同じ組織で働いているので「わざわざ飲まなくてもみんなを知っている」という甘えがあったと直子さんは振り返ります。
見知らぬ人ばかりの出向先ではそうはいきません。少しでも早く仕事を覚え、同僚とのコミュニケーションも円滑にするために、飲み会にも積極的に参加することにしました。ただし、素敵な男性社員がいても恋愛関係になることはなかったそうです。
「そういう意味での人間関係はビシッと切っていましたね。切らなければよかったな、と今さら思うこともあります」
末っ子の甘え好きだと自認している直子さん。でも、倫理観と自意識の高さによって職場恋愛には踏み込めなかったようです。
そんな直子さんに恋の季節が巡ってきます。相手は、旅先の離島で知り合ってから5年来の友達である俊行さん(仮名)。直子さんより1歳年下の会社員で、ハードな山登りを趣味にしているパワフルな男性です。しかし、お付き合いを始めてから4カ月後には別れてしまいました。いったいどうしたのでしょうか。続きはまた来週にお話しします。
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京もしくは愛知で毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/
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