夜まできれいな夏の化粧術 朝のたっぷり保湿がコツ
夏は化粧が崩れやすい。暑さで汗と一緒にファンデーションが浮き出たり、冷房の効いた室内は逆に乾燥で肌が粉を吹いたようになったり。化粧品売り場で相談したくても品数の多さに戸惑う人も多い。真夏の肌をきれいにみせるには、どうすればいいだろうか。
陶器肌派?ツヤ肌派?
「朝、きれいに化粧をしても、夕方にはベタついてしまう」。20歳代の会社員、西川亜未さんの悩みは化粧崩れ。7月上旬、松屋銀座本店(東京都中央区)のシャネルの化粧品売り場を訪れた。「紫外線をしっかり防ぎつつ、肌をきれいにみせるものはありますか?」
西川さんは化粧下地、日焼け止めやファンデーションが1本にまとまったBBクリームを薦められた。「化粧が薄くてすむので崩れにくく、直しも簡単」(シャネルPRの福田紘子さん)として、今夏のヒット商品になっている。
自分の肌に合うファンデーションを上手に選ぶにはどうすればよいか。
まずは「どんな肌にしたいのか、理想を明確にする」(松屋銀座本店の化粧品バイヤー、五味渕麻里さん)。ファンデーションは仕上がりで2つに分けられる。薄いベールで包まれたような「陶器肌」にしたいか、みずみずしい「ツヤ肌」か。
自分の好みで選べばよいが、ツヤを抑え、きめ細やかな陶器肌はきちんとした仕上がりがアピールできて職場向き。一方のツヤ肌は素肌のままのような自然な印象でカジュアルな洋服にも合う。好みの女優からイメージするのもよい。「陶器肌の代表なら鈴木京香さん、ツヤ肌は上戸彩さん」(五味渕さん)という。
2つめはどの店に入るか。化粧品ブランドには化粧水や美容液などスキンケアを重視している店と、アイメークや口紅など色化粧品を得意とする店がある。ファンデーションは後者の方が充実しているのでこちらの店を選びたい。売り場の目立つところにファンデーション類がたくさん並んでいるのが目安だ。品数が豊富なほど「理想をかなえる商品がある可能性が高い」(五味渕さん)。
商品にはパウダー状と液状があり、どちらも陶器肌とツヤ肌に導くものがある。店員に相談しながら決めよう。
肌との相性は、やはり自分の顔に塗ってみないと分からない。即決せずに、半日から1日過ごして、色合い、つき具合、かゆみや赤みが出ないかをチェックする。
店員には、あらかじめ「自分の肌に合うか1日試してみたい」「気になる商品があるのでサンプルが欲しい」と伝えておけば、その場で買わなくてすむ。違和感がなく、なじんでいるのを確認してから購入すればよい。
朝の保湿 侮るなかれ
真夏でもきれいな肌を維持する最大のカギは「朝の保湿」(資生堂ビューティートップスペシャリストの鎌田由美子さん)にある。実は夏の肌は紫外線や冷房の影響で想像以上に乾いている。保湿を怠ると、皮膚表面の水分と油分のバランスが崩れ、ベタつきやてかりの原因になる。朝の洗顔後「化粧水で水分補給し、乳液で潤いを保つケアを続けることが大切」(鎌田さん)だ。
スキンケアの最後に「収れん化粧水」を使うと、よりサラサラとした皮膚を保ちやすい。余分な皮脂を吸収する成分が含まれているからだ。乳液で整えた後、コットンにたっぷりふくませ、顔全体に100回くらいパッティングする。肌の表面温度が下がり、毛穴が引き締まった印象になる。
ファンデーションの基本は「顔全体に塗らないこと」(パルファンクリスチャンディオールのナショナルメイクアップアーティスト、徳永靖弘さん)。目下から口角を結ぶ頬のゾーンは人の視線が最も集中する。ここをきちんとカバーしつつ、顔の外側に向かって薄くなるようにのばしていく。仕上がりをワンランクアップしたいなら、専用ブラシを使うと、素早く色むらなく塗れる。
外出先で化粧崩れを直したいときにはどうすればいいか。崩れた土台の上に、無理やりファンデーションを重ね塗りするのはNG。職場のデスクなどに、あぶらとり紙とスプレー状の化粧水を忍ばせておくと心強い。
皮脂でギラついた部分をあぶらとり紙で押さえ、スプレー状化粧水を顔全体に吹きかける。化粧直しは顔の中心となる「額」「鼻のまわり」「口元」を鏡で重点的にチェックする。崩れた部分を指でトントンと押さえて平らにしたり、はげた部分にコンシーラーを塗ったりしてなじませる。
「化粧の7割は肌の仕上がりで決まる」(鎌田さん)。肌の色やツヤがよいと会う人に好印象を与えるほか、何より自分が気持ちいい。ファンデーションで肌をワンランク上の美しさに導きたい。
(佐々木たくみ)
[日経プラスワン2013年7月20日付]
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