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削り粉青のり=静岡、ショウガ醤油=兵庫、おでんの友

おでん(3)

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NIKKEI STYLE

VOTEの結果が手元に届いた。いま都道府県別の数値が書き込まれた一覧表に見入っている。「やっぱりな」とうなずく数字がある。「へえ、そうだったのか」というのもある。地域の特性か個人の趣味かはっきりしない数字も並んでいる。

まず回答の「その他」の項に記入された「つけだれ」のうち、あきらかに個人的な「禁断の趣味」と思われるものを挙げると「マヨネーズ」(東京、大阪、大分各1)、「ごまだれ」(北海道1)、「チリインオイル」(東京2)、「ソース」(兵庫1)、「チョコレート」(東京1)。

マヨラーは、おでんにもマヨですか? おいしいですか? 好きずきですからとやかく言いませんが、本当においしいですか? 本当に?

ごまだれという手もあったか。しゃぶしゃぶ用のヤツかな?

チリインオイル? あの瓶に入った赤くて辛い液体? 確かに辛いからからしの代わりにはなるかもしれないが……。

ソースねえ。おでんというのは基本的に醤油味のはずだが、醤油とソースを舌の上で戦わそうというのだろうか。神戸だから、やっぱりオリバーのだしソース?

チョコレート。おでんにチョコ。コメントが浮かんでこない。ほかのこと考えよー。

ええー、100%からしだった県は秋田、石川、鹿児島、熊本、宮城、宮崎、新潟、島根、栃木、鳥取、山梨だった。というより、事前の予想通り列島全体でからしが圧倒的に優勢だった。逆にからし劣勢の地域をみた方が、数も少ないので手っ取り早い。

まず、静岡県。ここはからし派は50%しかいない。

23%が「味噌だれ」であり、25%が「その他」だった(2%は何もつけない)。「その他」の中身を見ると「青のり」「青のりとかつお節」「青のりとだし粉」「青のりとさば節」「だし粉」「味噌だれとだし粉」などとなっている。こういう回答が寄せられたのは静岡しかない。つまり青のりやかつお節、だし粉をふりかけて食べるのが静岡流ということになる。

だし粉というのは「削り粉」「かつお節パウダー」「かつお粉」などとも言われることがあるが、要はかつお節やさば節を粉末にしたものである。だしを取るために使ったり、東京ではお好み焼きやたこ焼きの生地に入れたりする。いただいたメールの中に、この点を解説したものがあった。

ご意見 生まれも現在の住まいも静岡市です。静岡でおでんにつけるものといえば、のりの粉とおかかです。粉はのりの製造過程で出たものが昔から安く出回っていたのでは? かつおの水揚げで知られる焼津が近くにあり、かつお節の生産はいまでも有名です。地元ではかつお節を削ったものの総称が「おかか」です。もちろんあとは洋からしです。以上みっつをすべて付ける人、何も付けない人と様々です。静岡おでんは、基本的に竹串に刺さっています。それと「はんぺん」といえば黒はんぺんが常識です。いわしのつみれを薄くしたものと思ってください。汁は鍋の底が見えないほど真っ黒といってもいいくらいの醤油味です。麺類も似たようなもので、関西とはまったく違います(ケメコ通信読者さん)

静岡市の様子はこれでわかる。だが23%もいる「味噌だれ」については触れられていない。ということは、味噌だれは静岡市周辺以外の地域で使われているということだろうか。もう少し情報がないと断定できないが、多分そういうことなのだろう。

次に愛知県。からし派が41%なのに対し味噌派は53%。「その他」の中に「赤味噌で煮込む」というのが1通あり、これを加えると味噌派は54%になる(何もつけないが5%)。

味噌派は「味噌だれ派」(32%)と「豆味噌煮込み派」(13%)に分かれる。名古屋が味噌煮込みおでんなので愛知県全体がそうだと思われがちだが、実は豆(赤)味噌で煮込むのは、どうも名古屋周辺だけのことらしい。そのほかの地域は味噌だれが主流のようだ。

隣の岐阜県はからし派が過半数を占めたが、味噌だれが22%、豆味噌煮込みが6%あった。

南隣りの三重県をみると、からし派は50%。味噌だれ26%、からし味噌と豆味噌煮込みが8%で、中京圏での味噌派の存在感は大きい。

愛媛県もからし派劣勢地帯。からし派は31%しかいない。では何が優勢なのか。からし味噌(42%)である。

香川県にいたっては、からし味噌派が65%と最大勢力を誇っている。確かに私が高松のセルフうどんの店で食べたおでんにはからし味噌が添えられていた。

兵庫県も面白い。ショウガ醤油が13%と突出している。実は「ソースでてんぷら」のときにいただいたメールの中にこんなのがあった。

ご意見 おでんの話が出ていたが、醤油を少し薄めてショウガをすった「ショウガ醤油たれ」などご存じですか? 生まれも育ちも播州は高砂です(高砂の風来坊さん)

高砂―姫路―相生にかけて「ショウガ醤油」地帯が存在するのである。新井由己さんの「とことんおでん紀行」には姫路で食べたショウガ醤油おでんが写真入りで紹介されている。

北海道にも味噌派が14%いた。

「その他」の項目に注目すべきものがあった。「ねぎだれ」「ねぎ味噌」というのが合わせて3通あり、それがすべて長野県だった。知らなかったなあ、こういう食べ方。もう少し詳しく知りたい。長野県民および長野出身のみなさん、教えてください。おでんとネギって相性がいいですか?

「ユズこしょう」というのが全国から12通来た。九州生まれの香辛料。でも「こしょう」と言いながら中身はからし。

それと「長野ではおでんに果物の梨が入る」という噂が存在するそうだ。にわかには信じられないが、銀座のおでん店を紹介した雑誌の文章の中には「今、流行りの『トマト』のおでんも外せない」というくだりがある。

新井さんに教えてもらったのだが、静岡では20年以上前からトマトがおでん種になっているそうだから、梨だっておでん業界に就職していてもおかしくはないのかもしれない。この点の情報もお待ちしています。

サブテーマの「ギョウザ巻き」は福岡生まれらしいし、実際博多の屋台で出すおでんでは定番アイテムである。だから私は九州から山口ぐらいまで、飛んで東京周辺しか出現情報を期待していなかった。

ところが回答結果をみると、えらく遠くまで出かけていっていることがわかったのである。栃木では57%が「それ食った」と答えた。さすがにギョウザ王国だ。水ギョウザ感覚だろうか。

宮城県でも3人に1人が「食ったよ」と言っているではないか。東京も3人に1人の割で体験者が存在する。川崎市の岩崎さんから「東横線沿線か山手線内でギョウザ巻きが手に入る店を教えて」というメールをいただいている。岩崎さんは私と同郷なので教えて差し上げたいが私も知らない。

さて、今回のテーマで大変お世話になった新井由己さんのHP「おでん博物館」(http://www.odengaku.net/)。よくまあ、これだけおでんについて調べたものだと感心する。おでんの付けだれ分布図、おでん種分布図もあるので、今回の調査結果と比較するとまた面白さも増すだろう。全国のおでんの店案内は圧巻。

おでんに興味がある方は「だもんで静岡おでん」(静岡新聞社)など氏のおでん本を参考にされることをお勧めする。

次のテーマは「焼きミカン」。ミカンを焼いて食べる地帯はどこだ! というやつ。サブテーマは「あなたが今年の正月に食べた雑煮のおモチは焼いてありましたか? それとも煮てありましたか?」なのである。

(特別編集委員 野瀬泰申)

[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]

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