旅から生まれた挑戦者(1)「新しいもの見る」醍醐味ハウステンボス社長 沢田秀雄氏

開業以来18年間、赤字続きだったハウステンボス(長崎県佐世保市)は2015年9月期に連結経常利益100億円を達成した。経営主体が何度も変わり、再建は不可能とされたテーマパークをよみがえらせたのが、10年から陣頭指揮を執る沢田秀雄社長だ。旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS)、格安航空会社(LCC)の先駆けとなったスカイマークエアラインズ(現スカイマーク)を創業した起業家は、ハウステンボスに無限の可能性を見いだしている。
さわだ・ひでお 80年にインターナショナルツアーズ(現HIS)を設立して社長に就任。96年スカイマークエアラインズ(現スカイマーク)を設立、2010年にハウステンボス社長。大阪府出身。64歳。

ロボットや人工知能(AI)、植物工場、再生可能エネルギー……。ハウステンボスを舞台にして、10年先の社会に必要な新規事業に取り組んでいます。例えば昨年開業したスマートホテル「変なホテル」は、将来深刻化する労働力不足に対応したものです。フロント業務をロボットに任せ、再生エネルギー活用による低コスト運営を実現しました。年内にはロボットをテーマにしたレジャーゾーンも開設します。この「ロボットの王国」はとても面白いものになります。

ハウステンボスの敷地面積は約152万平方メートルと、モナコ公国とほぼ同じです。社長就任の直後から「観光ビジネス都市」を掲げ、観光に関連した産業集積を考えました。

一カ国分の広さがあれば、様々な社会実験に取り組むことが可能です。小型無人機(ドローン)の飛行試験や、自動車の無人運転といった公共空間では難しい実験にもハウステンボスを開放していくことで、国内外の企業と手を組んで新しいビジネスチャンスをつかんでいきます。

ソフトバンクグループの孫正義社長、パソナグループの南部靖之代表と並んで「ベンチャー三銃士」と称された。

子どもの頃から旅が好きで、20代で50カ国以上を旅しました。旅行会社のHISを起業し、格安航空券を販売することで海外旅行を身近な存在にしました。国内旅行も手ごろな価格で提供したいと創業したのがスカイマークでした。証券会社や為替取引を手がける沢田ホールディングスも経営し、買収したモンゴルのハーン銀行は同国の商業銀行のトップに育ちました。

ハウステンボスの経営を当初は引き受けるつもりはありませんでした。しかし旅で得た「新しいものを見てみたい」というチャンレンジ精神が私を突き動かしてきました。

まだこの世に存在しない事業は挑戦しなければ生まれません。ハウステンボスも成功例ばかりでなく、数多くの失敗を経験しました。それでもチャンレジしなければ、成功はつかめません。旅とビジネス一色だった私の半生をご紹介することで、挑戦し続ける面白さと醍醐味をお伝えしていきたい。

[日経産業新聞2016年1月1日付]

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