平康 慶浩 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント

平康 慶浩 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント

しかしこの会社でもなお、会社行事を欠席したからといって直接出世に影響することはない。なぜならこの評価基準は8つある基準の一つにすぎないからだ。そしてこの基準で評価されるのは新入社員から入社3年目程度までの若手期間だけだ。最悪の場合そこで悪い評価を得たとしても、それ以外の点で挽回する機会はいくらでもある。そして係長や課長になった時点ではこの評価基準は適用されなくなるのでほとんど問題はない。

人事評価の指標は会社からのメッセージである

ここであらためて人事評価というものを説明しておこう。

人事評価には、行動や能力を評価する基準が設定されることが多い。それらの基準は

「リーダーシップ」「チームワーク」といったマネジメントに必須のものや、「コンプライアンス遵守」「思いやりと誠実さ」のような意識面を重要視したもの、あるいは「自己研鑽」や「業務改善への貢献」というような成長を意識したものなどだ。先ほどあげた「社内コミュニケーション」は意識面を重視したものになる。

ではこれらの基準に反する行動をとると即座に評価が下がるのか、といえばそうではない。行動や能力の評価基準は、結果に対して〇×をつけるものではないからだ。それらは会社が重要視していることについてのメッセージとして発信される。そして評価期間においてそのメッセージに基づく行動をとるチャンスは何度もある。だから仮に指標に反する行動をとったとしても、そのあとで改善して次にそうしなければ大丈夫だ。重要なことは評価指標にあらわれているメッセージをちゃんと理解している姿勢を示せるかどうかだ。会社行事への出席が評価基準にあったとしてもなお、挽回するチャンスはいくらでもある。

しかし飲み会はともかく、全社員が集まる会社行事に参加したくない、とあなたが強く思うのであれば、それは別の理由から出世にマイナスに働くだろう。参加しないことに問題があるのではない。参加したくない、と思っているあなたの気持ちが出世に響いてくるのだ。

なぜ出世する人には、会社行事に出席し続けた人が多いのか

たしかに会社行事を欠席したところで評価には影響しない。しかし課長から部長、役員に昇進していった人たちには、会社行事に出席し続けた人が多い。

理由は二つある。第一に、会社行事に出席すると社内コミュニケーションが促進される。社内に知り合いが増えるし、彼らとビジネス以外の話をすることで人間性もわかってくる。ネットワーク論で語られる弱いつながりがそこで生まれる。一緒に運動会で汗をかいたり、バスの中でカラオケを歌ったり、宴会で気を抜いた姿で語り合う経験はオフィシャルな場面では生まれない関係性を作る。たとえ宴会の場で大失敗したとしても、会社行事で有名になることができればそれだけでその後の社内コミュニケーションに大きな価値を生むだろう。そしてそれこそが、会社が行事を催す目的だ。