国産ワインで乾杯 お薦めのワイナリーレストラン10傑
国産ブドウだけでつくる「日本ワイン」は国際的なコンクールで受賞するなどその品質の良さが認知され始めた。日本には200を超えるワイナリーがある。そこで新酒が楽しめる季節、レストランがあり食事も楽しめるお薦めのワイナリーを専門家に聞いた。
北アルプスを望む
料理は自家菜園の野菜など信州の素材をふんだんに使ったもので「受賞多数の日本トップクラスのワインを片手においしい食事がいただける」(福田克宏さん)。1番人気は「ヴィラデストランチコース」(写真右、3600円)。前菜や自家製パン、信州豚のクルミ焼きなどの主菜に写真にはないがデザートとお茶がつく。「ヴィニュロンズリザーブ」の優雅な赤のメルロー(グラス850円)か、果実味豊かで切れ味のよい酸が特徴的で数々の受賞歴もある白のシャルドネ(同)がおすすめ。「夕暮れ時のディナーはこれぞ日本の風景という情景が味わえる」(吉田浩之さん)
ランチコースの飲食は店内のみ。11時30分と13時30分からの入れ替え制で予約優先。店内が混雑していなければ、コース以外のメニューも利用できる。(1)午前10時~日没。12月24日~2月末は休み(2)長野新幹線上田駅から車で約20分(3)www.villadest.com
庭先にはブドウ棚
おすすめは甲州ワインの「原茂ブラン」(グラス486円)と「パンの気まぐれブランチ」(1895円)。自家製ソーセージのほか、地元の野菜が持つ味わいを生かした総菜10種類が並ぶ。「これぞワイナリーランチといった一皿」(藤川百々英さん)。内容は毎週、少しずつ変わる。「オリーブオイルと塩でいただくおぼろ豆腐(410円)と甲州ワインをぜひ試して」(石井もと子さん)
開店時のみ予約可。週末は1、2時間待ちも。(1)午前11時~午後5時。月曜日定休、12月1日~3月末は休み(2)JR勝沼ぶどう郷駅から徒歩約10分(3)www.haramo.com
収穫祭はあすまで
生演奏も楽しめる「収穫祭は日本一」(吉田さん)といい、今年は15、16日に開く。参加費は一人3000円。最寄り駅などから臨時シャトルバスも。(1)午前11時~午後5時30分(受注時間)。12月31日~1月2日、1月19~23日は休み(2)JR足利駅、東武伊勢崎線足利市駅から車で約20分(3)cocowine.com
倉庫を改造して2013年3月にオープンした。1階が醸造所、2階が食堂で「都会で眼下に醸造設備を見ながら食事ができ、臨場感がある」(遠藤誠さん)。
府内の自社畑で育てたデラウェアやマスカット・ベーリーAなどを使う。「生樽(だる)わいん」の白はグラスで432円。「みずみずしいワインに料理もおいしい」(鹿取さん)(1)午後1~10時。水・第3木曜日と12月29日~1月6日は休み(2)地下鉄松屋町駅から徒歩1分(3)(電)06・4704・6666
「本格派フレンチ」(山本博さん)が楽しめる。ランチ(2600円)もディナー(4500円~、要予約)もコースで「地元の野菜とシャルドネは最高」(藤川さん)。「子連れもリラックスして楽しめる」(石井さん)
今年のマスカット・ベーリーAの新酒は20日解禁。(1)午前11時~午後3時、午後5時30分~同6時30分など(受注時間)。水曜日、12月24~31日休み。1~3月中旬は月~木曜日が休み(2)JR牟礼駅から車で約5分(3)www.stcousair.co.jp
鮮魚卸のグループ会社が設立した。富山湾が見渡せる高台にあり、宿泊施設も設けている。「眺めも建物も雰囲気もすばらしく、のんびり長居したくなる」(辰巳琢郎さん)
「新鮮な魚を使った料理が楽しめる」(石井さん)。ランチとディナーの時間帯は予約制で、ランチは2600円と3600円、ディナーは6000円。(1)午前11時~午後6時(ディナーは午後10時まで)、年末年始と1月中旬~2月中旬休み(2)JR氷見駅から車で約20分(3)www.saysfarm.com
「眺望の良さはピカイチ」(小松さん)。甲斐(い)サーモンなどのワンプレートランチ(1800円)を「登美の丘 シャルドネ」(グラス500円)とともに。
教会をイメージした造りで「生ワサビとローストビーフ、甲州ワインの組み合わせをお試しあれ」(辰巳さん)。樽醸造の「アルガブランカ ピッパ」が料理を引き立てる。
「庭園や複数の飲食施設があり、のんびり一日を過ごすには最高」(吉田さん)。温泉や宿泊施設もあり、隣接する3つのワイナリーを徒歩で巡れる。
農薬を少量しか使わないなど、食の安全を志す農家が集まった「食の杜(もり)」の一角にある。「地元の食材を上手にアレンジしている」(小倉あづささん)
表の見方 数字は選者の評価を点数化。ワイナリー名、所在地。(1)飲食店の営業時間と休み(2)最寄り駅からの所要時間(3)ワイナリーか飲食店の電話番号かHPのURL。頭のhttp://は省略。記事中のリンクは掲載時のものです。3位の写真は施設提供。
風景を味わいながら
ワインの楽しみ方の基本は、「ブドウ畑など風景を見ながら、地元でとれた食材を使った料理と一緒に味わうこと」(エッセイストの玉村豊男さん)という。アメリカや南アフリカ、ニュージーランドなどのワイン産地では、積極的に観光客を受け入れるところが多く、ワイナリーリゾートとして世界中から人を集めている。
日本でもブドウ栽培からワイン醸造、飲食の提供まで一貫して手掛けるスタイルのワイナリーが増えてきており「日本人が欧米と同様の楽しみ方に目覚めつつある」(玉村さん)という。
ブドウ畑というと山梨県や長野県などを連想しがちだが、こうした地に限らず、日本列島全体がワインの産地条件に適した緯度に位置している。各地でその地に適したブドウの品種を栽培、醸造して個性的なワインを生み出している。
デラウエアなど生食でなじみのある品種のほか、白ワインに使う甲州や赤ワインになるマスカット・べーリーAは日本固有の品種で、日本の料理に合う。自分の食べたい料理にどんなワインが合うか、尋ねながら飲めるのもワイナリーレストランのいいところ。意外な発見があるかも。
◇ ◇ ◇
調査の方法 国内のワイナリーやワインに詳しい専門家らの協力を得て、飲食店が農園内か近くにある47のワイナリーをリスト化。実際によく訪れているソムリエなど11人に(1)ワインに合う地産地消の食事が味わえる(2)ワイナリーらしい雰囲気が楽しめるなどの観点からお薦めを10カ所選び、順位付けしてもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
青山葉月(ライター)▽石井もと子(「日本のワイナリーへ行こう2015」監修執筆)▽遠藤誠(ワインバー「遠藤利三郎商店」オーナー)▽小倉あづさ(いまでや専務取締役)▽鹿取みゆき(フード&ワインジャーナリスト)▽小松由加子(ワイナート編集部編集長)▽辰巳琢郎(俳優、日本ワインを愛する会副会長)▽福田克宏(「最強日本ワイン完全ガイド」著者)▽藤川百々英(日本ワイン応援団女子部部長)▽山本博(弁護士)▽吉田浩之(白馬リゾートホテル ラネージュ東館)
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