完成品よりそのプロセスが大事 消費行動の新潮流『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』

「良いモノを作るだけでは売れなくなった」。そう言われるようになって久しい。確かに、完成した製品はどれも一定の品質を保っており、違いが分かりにくくなっている。だが、一方で中国スマートフォン大手、の小米(シャオミ)のスマホのように、開発プロセスをファンと共有し、発売前から予約殺到の製品もある。この違いは何がポイントだろうか?

それは「プロセスの共有」の有無だ。本書『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』では、最終的なアウトプットではなく、制作過程というプロセスから顧客を巻き込み、価値を見いだす「プロセスエコノミー」の意義やあり方を紹介。IT(情報技術)批評家である尾原和啓氏が、プロセスに価値が出る背景や共感のメカニズム、実装のためのノウハウを、マーケティングや行動経済学に関する多数の文献を引きながら解説している。

プロセスの共有が価値を生み出す

プロセスエコノミーとはクリエイターの制作現場をライブ配信する「00:00 Studio」を立ち上げた、けんすう氏が生み出した言葉だ。制作風景を公開し、視聴者から投げ銭などで応援してもらうのもまさにこれにあたる。

アウトプットよりプロセスが注目される理由について、著者は30代以下の「物質的な不足を経験していない世代(乾けない世代)」の存在を指摘。彼らは「役に立つ」よりも「意味がある」ことを重視する。「好きだと思えるものが欲しい」「企業のビジョンや生産者の生き方に共感できるものを買いたい」と考えるため、生産者のこだわりや価値観、生産にいたる背景を知ることこそが、購買意欲につながるのだ。

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