異論、極論を知る

最終章には、偏った思考パターンから自由になるための、18のヒントが紹介されている。

例えば、「極端な考えの人に会う」。かつて、“ミスター円”と呼ばれた元大蔵省財務官の榊原英資氏のエピソードが取り上げられている。彼はアメリカに行くと、一番楽観的なエコノミストと、一番悲観的なエコノミストに会うようにしていたという。そうすることで、思考の偏りを修正していたようだ。「自分はダメな上司だ」などと頭をよぎり始めたら、ストレスが小さいうちに、自分を思いきり高く評価している人に会ってみるといいかもしれない。

他にも、SNS(交流サイト)で異端の意見を投稿し、賛同してくれる希少な人を探す、などユニークな提案が並ぶ。大切なのは、自分とは違う意見に触れ、「こうであるはず」「こうあるべきだ」という思考をゆるめることだ。ヒントも、色々試して自分に合うものを見つけてほしいと著者はいう。

ストレスの最中では、それが脳の錯覚かどうかなど、立ち止まって考える余裕はなくなるだろう。日ごろからまずい思考パターンが働いていないかチェックし、柔軟な心を保って欲しい。

今回の評者 = 川上 瞳
情報工場エディター。大手コンサルティングファームの人事担当を経て、書評ライターとして活動中。臨床心理士、公認心理師でもある。カリフォルニア州立大学卒。

ストレスの9割は「脳の錯覚」

著者 : 和田 秀樹
出版 : 青春出版社
価格 : 1,144 円(税込み)