故障が相次ぎ、着陸に暗雲

イトカワへのタッチダウンを前に、姿勢を制御するリアクションホイールで2基目の故障が発生する。

1基目の故障は準備していた対策で乗り越えましたが、2基目となると簡単ではありません。イトカワへのタッチダウンを目指すはやぶさにとって姿勢制御は生命線のひとつです。地球とのデータ通信に使うはやぶさのアンテナを正確に地球に向けておくことも難しくなりました。

そこで残った1基のリアクションホイールと、スラスタという小型ロケットエンジンを使って姿勢を制御することにしました。できるだけ短い間隔でスラスタを噴射し細かく姿勢を制御したい。スラスタを作った三菱重工業の諫早工場(長崎県)まで出向いて実験しましたが、なかなか思うようにいきません。それでも担当エンジニアがプログラムを修正し、中程度の精度で制御できるまでに回復。通信速度が落ちてはやぶさから届くデータ量は大幅に減りましたが、運用に支障がない程度の精度で制御できるようになりました。

リアクションホイールは米国企業の製品で、分解不可という条件で輸入したものでした。技術的な詳細が分からず、残る1基がいつ壊れるかもしれません。残る1基に負担がかからないよう回転数を半分以下に落として使うことにしましたが、不安を抱えたまま着陸に挑むことになりました。

[日経産業新聞 2020年5月20日付]

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