派遣切りで自宅はゴミ屋敷… 「家」に見るコロナの闇『不動産大異変』

ゴミ置き場が、ゴミであふれかえっている。住人がゴミの分別をしなくなったのだ。コロナ前には見られなかった光景に、住戸を管理する大家はあぜんとした――。

「家」にまつわる問題が噴出している。家で過ごす時間が伸び、騒音が気になってトラブルを起こしたり、上記のように共同生活のマナーをないがしろにしたりするなど「不機嫌な住人」が増えている。また精神面での不調や収入減から、家賃を払えなくなる住人も出てきている。そんな入居者と、感染対策をしつつ向き合わなくてはならない大家も、頭を抱えているという。

本書『不動産大異変』は、家賃が払えず強制退去にまで追い込まれる人たちと20年以上向き合ってきた著者が、新型コロナウイルス感染症の影響による、賃貸住宅の大家と入居者が抱える葛藤について、様々な事例とともに紹介している。著者は、OAG司法書士法人(東京・千代田)代表。2,500件以上の家賃滞納問題への対応を行ってきた。

家賃滞納の裏にある、むしばまれた生活

コロナの第2波に襲われた2020年夏、著者はある大家から相談を受けた。「家賃が遅れ気味の入居者の家にいったら、ゴミ屋敷になっていた」というのだ。著者が話を聞きに入居者のもとを訪れると、住んでいたのはきれいな格好をした28歳の女性。いわく、業績の悪化した企業で派遣切りにあい、不安で眠れなくなり、自炊をせずコンビニ弁当中心の生活になった、気力が湧かずゴミを捨てられなくなった、とのことだ。

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