待ったなしの「脱炭素」 日本企業の進むべき道とは『図解SDGs入門』『データでわかる 2030年 地球のすがた』著者に聞く

温暖化の影響で災害が多発している(画像はイメージ=PIXTA)
温暖化の影響で災害が多発している(画像はイメージ=PIXTA)

菅義偉政権は2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げている。コロナ禍で厳しい経営環境に直面している日本企業は、この課題とどう向き合えばよいのか。このほど『図解SDGs入門』を出した日本総合研究所創発戦略センターシニアマネージャーの村上芽氏と、『データでわかる 2030年 地球のすがた』の著者でサステナビリティ経営に詳しい夫馬賢治氏に聞いた。

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村上芽氏

◆リーマン・ショックとの違い

村上芽氏

気候変動対策は、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の17目標に含まれている。じつは昨年の今ごろ、新型コロナの影響で、世の中の雰囲気が「SDGsどころじゃない」となってしまうことを危惧していた。リーマン・ショックの時の温暖化対策が、まさにそんな感じだったからだ。しかし今回は、むしろSDGsやサステナビリティを真剣に考えようという企業の動きが強まった印象を受ける。ちょっと前なら、10年以上先のことなんか考えられないという経営者やビジネスパーソンが多かった。しかし最近は「2030年ってもうすぐじゃないですか」という発言がひんぱんに出る。昨年10月に菅首相が2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を打ち出した効果も出ている。長期的に考えていこうというムードが広がってきた。

従来は「みんなやっているから、やらなきゃいけない」とか「これもSDGsに関係しそうだから紐づけておくか」という具合に、割にフワっと見ていた。しかし今や、個別企業も具体的な目標設定や、データに基づいた情報提供が求められる。実際に何ができているのかを生の情報で定量的に発信できない企業は「単なる、ええかっこしい」と見られることがはっきりしてきた。世の中の目も厳しくなり、具体的なインパクトを出せているかどうかが、重要だ。その方が、取り組む側の意欲も高まる。

10年前のリーマン・ショックの時とは、環境や社会の危機に対する切迫感が違う。当時は、金融業界が経済危機を引き起こしたのであって、多くの企業にとっては「金融界がいらんことして」という雰囲気があった。今回の危機を招いた感染症は、未知のウイルスという原因が明白で誰かのせいにはしきれない。経済活動のグローバル化が進むなか、みんなで同じ危機を経験したのもすごく大きい。感染するかもしれないという点では、お金を持っている人も貧しい人も同じような不安を感じた。

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