トップ営業の元お笑い芸人 「弱み」を見せる成功術『コンプレックスは営業の最高の武器である。』

コロナ下で働き方が激変した若い営業職へのエール
コロナ下で働き方が激変した若い営業職へのエール

オンラインが広がって、営業のスタイルが一変した。今回紹介する『コンプレックスは営業の最高の武器である。』は、企業の営業職に転職して成功した元お笑い芸人が、成果を出す営業に必要なスキルを指南する一冊だ。これまで経験や手法が通用しなくなったコロナ下で壁を乗り越えたい若いビジネスパーソンに、出世のヒントを与えてくれる。

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中北朋宏氏

著者の中北朋宏氏は浅井企画に所属し、お笑い芸人として6年間活動しました。その後、人事系コンサルティング会社に入社。内定者の教育から管理職の育成まで幅広く関わり、営業成績ナンバーワンを達成しました。2018年に独立して株式会社俺(東京・千代田)を設立。笑いの力で組織を変える「コメディケーション(コメディ+コミュニケーション)」の普及に力を入れています。また、お笑い芸人からの転職支援「芸人ネクスト」というプロジェクトも展開しています。

コンプレックスの使い方

コロナ下では顧客訪問や対面での商談を制限される一方で、リモート営業の比重が大きくなっています。オンラインとオフラインをうまく使い分けて、相手の共感や信頼を獲得するためのノウハウを解説するのが本書のテーマ。読者に伝える工夫として、ストーリー形式で展開します。主人公は、さえない若手の営業社員「中本陽太(なかもと・ひなた)」。彼が、新型コロナのような謎のウイルスがまん延する環境で、オンラインとオフラインを使いながら、営業担当として成長していく様子が描かれていきます。

まず、「新常態」で直面する課題を押さえておきましょう。オンラインでは「信頼関係の築き方が分からない」「提案が相手に伝わっているかが分かりにくい」「相手を引きつけ続けることができない」という悩みが、しばしば聞かれます。一方、オフラインでは「今までのように気軽に会ってくれず、訪問までのハードルが高くなった」「今まで通りのアイスブレイクが通用しない」「最後の決め手に欠け受注までいかない」という状況が起きています。

オンとオフをうまくつなげて成果を出すためには、オンラインで関係性をつくり、オフラインでそれをさらに強くすることが、勝ちパターンとなります。その鍵となるのは、相手の共感を得ることです。ここで、書名に入っている「コンプレックス」が重要になってきます。信頼関係を築くには、自己開示をして共感を得ることが有効です。そして、共感を得るために必要な最強の武器がコンプレックスなのだと著者は言います。

ところで「コンプレックスを自己開示したら、共感を得るどころか、顧客から引かれたり、嫌な顔をされるのでは……」。こう考える人も多いと思います。ここで著者はコンプレックスを定義します。それは「劣等感」とは少し異なるイメージです。次の(A)と(B)のトークを比較してみてください。

(A)毎日、数字が上がらず、上司から詰められて辛い思いをしています。
(B)毎日、数字が上がらなくて上司から詰められて辛い思いをしていました。【でも】今では数字を達成できるようになり、上司には感謝しています。

(A)は劣等感をつぶやいているだけですが、(B)はある程度、客観化したストーリーができています。当然(B)の方が共感を得やすいでしょう。

「つまり『コンプレックスの定義』は、『自分の感情が動いた辛い経験であり、自分のなかで昇華されている経験』そんな話を顧客と語り合うことが重要なんや」
(第1章 僕と「俺」の絶望的な出会い 38ページ)
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