田中さん「日本にはどんな影響がありそうですか」

RCEPで経済的なメリットが最も大きいのは日本だとみられています。中韓との初めてのFTAとなり、将来的に自動車部品や家電製品、日本酒などの両国への輸出増加が見込めるためです。

逆に輸入ではコメや麦、牛・豚肉など日本の産地に影響が大きい「重要5品目」の関税を維持するため、安くなる輸入品は限定的といえます。国連貿易開発会議(UNCTAD)と世界銀行による試算では、域内での日本の貿易収支は年168億ドル改善し、15カ国で最も大きくなると予想しています。

日本企業はアジア全域にサプライチェーン(供給網)を張り巡らせています。域内関税が下がっていけば、供給網の経済合理性や効率性が一段と高まると期待されます。

桑野さん「今後の課題は何ですか」

RCEPは経済協定ですが、安全保障にも影響するのは必至です。経済・安保を混然一体にアジアでの影響力を強める中国が、RCEPも利用しようとするのは確実です。

日本にとって、中国の存在感が大きくなりすぎるのは避けたいところでしょう。インドに交渉への早期復帰を促したり、バイデン新政権下で多国間主義への回帰を目指すであろう米国に、将来的な加盟を働きかけたりすることが重要になりそうです。

ちょっとウンチク

求められるバランス役

日本政府はRCEPの日本語訳にずっと「東アジア地域包括的経済連携」を使ってきたが、署名を境に「東アジア」を削除した。アジアに絞ったFTAという誤解を避け、米国を筆頭とする域外国に参画を促していく決意表明ともとれる。

TPPの場合、日本の交渉参加は13年7月と最後発だったが、米国の離脱後、11カ国での発効に主導的役割を果たした。TPPに意欲を示す中国に、厳格な参加要件を満たすよう求め、米国をTPPとRCEPに巻き込めるか。地政学と地経学で、日本はバランス役が求められる。(アジア総局長 高橋徹)

■今回のニッキィ
桑野 ゆきえさん 主婦。外出を極力控えるなか、買い込んだ布地と型紙でスカートやブラウスなどを作る。自分が着るものだけでなく、親族の分も作り始めた。「何より夢中になれるし、達成感もあるのがいい」
田中 智恵さん 情報機器商社勤務。在宅勤務により、自宅で体を動かす機会が増えた。1日30分程度、オンラインレッスンでのバランスボールを使った運動などに励む。「手軽にできるので、長い間続けたい」

[日本経済新聞夕刊 2021年2月1日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。


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