――いきなり勤務地が地方に変わると言われて、困る人もいるのではないでしょうか。

淡路島へ本社を移すパソナの南部靖之代表は「来られない人は来なくて大丈夫。来たい人がたくさんいる」と言い、島に移りたいというファミリー層が多くて驚いたそうです。南部代表自身が2月に仕事の拠点を東京から移しましたが、淡路島へ移るのは人事などの管理部門やIT(情報技術)システム部門を中心に現在の本社勤務者の4分の1程度にとどまるようです。

ニセコ町へ本社を移したルピシアも当初の人員配置を経営陣や商品企画などを中心にした20~30人に絞っていました。同社の従業員(1269人、6月末現在)規模からみれば限られた人員で、時間をかけて移転を進める配慮がうかがわれます。

――今後、どんな効果や影響が出てきそうですか。

パソナはリーマン・ショック後から10年以上にわたって淡路島で地域活性化事業を手がけ、すでに約700人が現地で働いています。従業員は通常業務に加え、島での農業や演劇など芸術の仕事とダブルワークする「半農」「半芸」などにも従事。会社はこうした取り組みを支援しています。地元との信頼関係が深まれば、地域振興の新しい形が生まれるかもしれません。

ちょっとウンチク

東京オフィス空室率に影響

本社機能の移転・縮小の影響がマーケットに及んでいる。東京都心5区の9月のオフィスビル空室率(三鬼商事調べ)は3.43%とコロナの影響が軽微だった3月の1.50%から急上昇。IT系スタートアップ企業が多い渋谷区では他の地区に先行してオフィス解約が増加している。全就業者の1割がテレワークを続けると都心オフィス空室率は15%近くになるというショッキングな試算も出てきた。

9月に報じられた米CBREの調査では世界の主要企業126社のうち75%超がオフィス拡張計画を凍結・中止したという。在宅勤務や拠点分散は世界の流れとなりつつある。(編集委員 安西巧)

■今回のニッキィ
小林 美香さん 会社員。オフの日は季節の花を撮影している。富士山を背景にした菜の花畑や秋風になびくコスモスなど、気に入った写真を選んで「2021年のカレンダーを作ろうと思っています」。
高木 由記子さん IT関連会社勤務。9月に左足の薬指を骨折しギプスで固定して電車通勤した。バリアフリーをうたう駅は多いが「利用者目線の配慮が行き届いた駅は少ないと痛感しました」。

[日本経済新聞夕刊 2020年11月2日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。


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