ネットで中傷受けたら、どうする? 電話で被害相談

ネットでの中傷は防止や規制の難しさから、対応が遅れてきた。 写真はイメージ
ネットでの中傷は防止や規制の難しさから、対応が遅れてきた。 写真はイメージ

SNS(交流サイト)上での中傷で傷つく人が増えているような気がするわ。痛ましい事件も起きているのに、もう何年も効果的な対策が打たれていないと思っているのは私だけかしら。インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷問題について、田中暁人編集委員が入江幸子さんと佐藤香織さんに解説した。

――どんな被害が生まれているのでしょうか。

最近では、フジテレビの人気リアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが、番組内での言動を巡ってツイッターなどに書き込まれた大量の誹謗中傷に悩まされ、それが原因で亡くなったと報道されました。

インターネット上の違法・有害情報に関する相談を受け付ける総務省の「違法・有害情報相談センター」には2015年度以降、毎年5千件を超える相談が寄せられています。このうち19年度のデータをみると、相談件数の半数近くを名誉毀損や信用毀損の被害の訴えが占めているのが実態です。

若年層を含む幅広い世代にスマートフォンが普及し、SNS利用者が急増するとともに、ネット上の誹謗中傷問題もあらゆる場面に広がっているのです。

――誹謗中傷などの書き込みをされたら、どうすればいいのですか。

「プロバイダー責任制限法」に基づき、SNSなどの運営会社に投稿の削除を求めることができます。匿名の投稿者の特定につながる名前や住所のほか、「IPアドレス」などの情報の開示を請求できます。被害者が投稿者を特定できれば、民事などでの責任を追及しやすくなり、誹謗中傷を目的とした書き込みの抑止効果も期待できます。

ただ、現行の法制度で投稿者を特定するのは容易ではありません。まず、運営会社が投稿者の情報開示に応じなければ、裁判所に訴えて開示を求めることになります。匿名のSNSサイトでは、運営者が利用者の名前や住所などの情報を持っていない場合も多く、投稿者の特定は簡単ではありません。

投稿者のIPアドレスを入手できても、今度はその使用者を特定するために携帯電話会社などに名前や住所の開示を求める必要があります。こうした手続きは煩雑で費用も時間もかかります。

――改善策はないのでしょうか。

総務省が有識者会議を立ち上げて、対応強化の検討を進めています。IPアドレスといった情報以外に、運営会社が所有していることが多い「電話番号」を開示対象に追加する方向で話し合いが進んでいます。情報開示を早めるための新たな裁判手続きを創設することも検討中です。11月にも最終報告をとりまとめる予定です。

ただ、むやみに対応を強化すると、今度は政治家や公人らへの批判までもが封じ込められてしまう恐れがあります。弱者を救済する法制度は強化されるべきですが、自由な言論が規制されないよう慎重な議論が必要です。

運営会社側でも、ネット関連企業が加盟するセーファーインターネット協会が6月下旬から、被害相談を受けるホットラインを始めました。助言のほか、投稿者や運営会社に削除を要請したり、発信者情報の開示を請求したりします。開設から半月程度で280件の相談があり、44件の削除を依頼したそうです。

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