――養殖業はこれからも技術が進化しますか。

「例えばカメラで成長を判断して、季節変動のデータとあわせてAIで餌の量を変えることが考えられます。AIを使って画像で魚数を計測することもできます。将来はサーモンを海外で養殖できる企業になりたいとの思いもあります」

加工食品の品目削減し収益改善

――加工食品は利益率の低さが課題ですね。

「マルハグループ本社とニチロが統合したことで生産拠点やアイテムが多かったのですが、立て直す施策を打ち、中期計画でも予定通り進んでいます。品目数削減だけでなく、最終的には生産拠点の集約も検討する必要はあるでしょう。冷凍食品はさらに伸ばせる分野です。介護向け食品などは高いニーズがあります」

――13年、旧アクリフーズの冷凍食品への農薬混入事件のとき、池見さんは経営企画部長の職にありました。当時の事件からどんな教訓を得ましたか。

「表面的には従業員が工場で農薬を混入させたということですが、検証委員会に調べてもらうと、色々な課題が見えてきました。再生に向けて、一つ一つ課題をつぶしてきました」

「例えばグループ経営のガバナンスや、監視カメラなど衛生管理システムを強化しました。働くみなさんが何を思っているのか、把握できる体制も重要です。一番大切なのは、何のために働いているのかというグループ理念を浸透させることです。役員が全事業所を回り事件を風化させないための活動をしています。これはどんなことがあっても続けます」

(聞き手は日経MJ編集長 鈴木哲也)

池見賢
1981年京大農卒、大洋漁業(現マルハニチロ)入社。海外業務部部長役などを経て14年取締役、19年取締役専務執行役員。20年4月から現職。ソロモン諸島やタイなど海外でのキャリアが長い。兵庫県出身。62歳。
■逆風下の船出、10年来の目標に挑む
あまり目立つ存在ではないマルハニチロだが食品業界にあって有数の事業規模を誇る。2020年3月期の売上高は9052億円、営業利益は170億円にのぼる。22年3月期まで4年間の中期計画では売上高1兆円、営業利益310億円という目標を掲げてきた。
池見社長にとって特別な意味を持つ数字だ。07年のマルハグループ本社とニチロの統合に際して「売上高1兆円、営業利益300億円」との目標を心に刻んだからだ。その後リーマン・ショックや大震災、農薬事件と逆風が続いた。今回もコロナ禍で中計の達成時期の見直しを迫られた。ビジョンを諦めない強い意志が求められそうだ。(逸見純也)

[日経MJ2020年6月1日付]

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