――中銀に何をどこまで期待できますか。

中銀は物価や金融システムの安定という重要な役割を担っており、今後も私たちの暮らしに大切な存在であり続けると考えられます。最近では、デジタル通貨発行など新たな役割にも関心が集まります。新型コロナによる経済・市場の混乱に対しても、適切な範囲で危機管理能力を発揮してもらいたいとは思います。

ただ中銀に過大な期待をすべきではありません。金融政策は、日銀でいえば9人の政策委員会メンバーの多数派の賛成が得られれば動かせるため、機動性が高いです。財政政策の発動には普通、国会審議が必要で、規制緩和など成長戦略には既得権者の抵抗も予想されます。金融政策は動きやすいですが、それゆえに安易に頼られがちです。

日銀が異次元緩和を始めた当初、市場環境が大きく改善したことで金融政策への期待が過大になった印象もあります。しかし日銀の保有する国債の額は膨張し、短期政策金利だけでなく、長期金利(10年物国債利回り)もマイナスに低下しました。2%物価目標は未達成ですが、追加策は限られています。デフレ脱却には政府や国会、企業、個人などの努力で日本経済の成長期待を強めることも欠かせません。新型コロナへの対処も、中銀に無理なことを期待すべきではないでしょう。

ちょっとウンチク

日銀、まずは「深掘り」以外で

各国が協調緩和に動き出す中、日銀は2段階の対応をとりそうだ。第1段階はマイナス金利深掘り以外の手段だ。各種措置による市場への潤沢な資金供給やETF購入の積極化などで、既に実施し始めている。

それでも市場混乱が続き、経済への悪影響が大きい円高が大幅に進むなら、政策金利を下げる第2段階も視野に入ってくる。円が節目の1ドル=100円を突破するリスクが高まるようなら、マイナス金利深掘りを検討する可能性も出てきそうだ。ただ、金融機関の収益への打撃など副作用も大きい。副作用の軽減のための方策もとるだろう。(編集委員 清水功哉)

■今回のニッキィ
三浦 綾さん 主婦。7月中旬ごろ、茨城県の霞ケ浦の周りをママチャリなどに乗り、サイクリングする計画を練っている。「自転車ならではの目線で、ハスの花が一斉に咲く風景を楽しめたらいい」
小川 美紀さん 金融機関勤務。週末中心に精進料理を作り、家族と食べる。薄味になりがちだが、昆布だしなどで工夫する。「精進料理を出す旅館にも足を運ぶ。温泉に入るとリフレッシュできる」

[日本経済新聞夕刊 2020年3月9日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。