アンジェリーナ・ジョリーさんの選択どう思いますか
乳がん予防のため乳房切除(読者アンケート)
米国の人気女優、アンジェリーナ・ジョリーさんの選択をどう思いますか。母親らをがんで亡くしているジョリーさんは、自身の遺伝子検査で、乳がんリスクが高いことがわかり、予防のため乳房を切除したと米紙で明かしました。切除といっても再建処置により、小さな傷がある以外、外見は手術前と変わらないそうです。ジョリーさんは「乳がんになる可能性が87%」と医師から説明を受け、治療を決断。手術で「乳がんになる可能性が5%未満まで低下した」と説明しています。一方、ジョリーさんのような高いリスクが想定されるケースはまれといい「すべての女性に正しい選択とは限らない」と執刀医は強調しています。
今回のジョリーさんの選択について、読者の皆さんの感じたことを教えてください。
乳がんは遺伝子要因が5%から10%
乳がんは米国女性が罹患(りかん)しやすい2番目のがんであり、日本における女性のがんによる死因では大腸がん、肺がん、胃がんに続き4番目となっています。また、年々増加傾向にあります(「平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省)。
原因としては、食生活の変化の影響などに加え、最近では、今回ジョリーさんが検査し、手術の背景となった変異した遺伝子の有無が注目されています。乳がんの5%から10%について、強い遺伝要因が影響しているとの推計もあります(野口 眞三郎『日本人家族性乳がんの遺伝子診断とマネージメント』 家族性腫瘍 第8巻 第2号 2008年)。
広がった選択肢
遺伝によるがんのリスク、そして予防としての乳房切除、再建手術という選択が、今回のジョリーさんの告白を受け注目されることになりました。20日には、がん研有明病院(東京都)が乳がんの予防をするための乳房の切除・再建手術の臨床研究を、早ければ月内にも病院内の倫理委員会に申請することを明らかにするなど、この動きは活発化しそうです。
予防の選択肢は増えましたが、健康な体の一部にメスを入れることに対する抵抗だけではなく、費用が高額であるという問題もあります。遺伝子検査は約20万~23万円、切除費用は約70万~100万円で自己負担、さらに再建手術は術式によって異なりますが100万円以上といわれています。これまでと同じく、こまめな検診と食生活の見直しも大切な対処法です。
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