「量子」の開発競争激しく 1万年かかる計算、数分で

米グーグルが開発した量子コンピューターとスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)=同社提供
米グーグルが開発した量子コンピューターとスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)=同社提供

米国のグーグルが、量子コンピューターで「量子超越」を達成したと聞いたわ。難しそうな話だけど、これでコンピューターの世界が変わるのかしら。私たちの生活にも影響はあるのかな。量子超越の意義や、量子コンピューターの開発状況などについて、菅原直美さんと浜田康子さんが吉川和輝編集委員に聞いた。

――量子超越というのはどういうことですか。

簡単な定義でいえば「量子コンピューターを使って、従来のコンピューターには不可能な計算を実行すること」です。今回、グーグルは「シカモア」という自社開発の量子コンピューターを使い、現在世界最高性能のスーパーコンピューターでおよそ1万年かかる計算問題を数分で解いたとしています。

発表内容についてライバルである米IBMの研究者は「1万年もかからない問題で、もっと短い時間で解ける」とクレームを付けましたが、大変難しい問題を短時間で解いたことは間違いありません。グーグルの研究者は発表の際「ライト兄弟の初飛行に匹敵する」と話しました。ライト兄弟の初飛行は1903年で、航空機技術はその後大きく進歩しました。今回の発表はあくまで最初の一歩で、これを機に技術開発が急速に進むことが期待されます。

――そもそも量子コンピューターはどんなものですか。

従来のコンピューターは、スーパーコンピューターであろうとスマートフォンであろうと「0」と「1」が計算の基本単位です。この基本単位を「ビット」といいます。量子コンピューターの基本単位は「量子ビット」です。量子力学という物理学の知識が基礎になっており、量子という極めて小さな粒子などの特性を活用しています。

量子の世界では「0でもあり1でもある」という重ね合わせの状態が存在します。これを活用すると、圧倒的な計算能力を発揮できるのです。従来のコンピューターが計算すべきものを片っ端から計算していくのに対し、量子コンピューターは一度にすべてを計算するイメージです。

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