社員の「適正規模は千人」の理由

私がロボット開発部の幹部だった頃、休みの日でも自宅に仕事の電話がよくかかってきました。元日の早朝に「おい、思いついたことがある。これから会議をしたい」と電話が来ました。時計を見るとまだ6時です。ご本人はもっと早く起きていたそうですが、遠慮してこの時間まで待ったそうです。心の中で「勘弁してくれ」と叫びながら駆けつけたものでした。

中村さんの口癖の一つが「知っているよりも好き、好きよりも楽しい方が良い仕事ができる」です。楽しむ人にはかなわないという意味ですが、バンダイナムコが今も忘れてはいけない基本精神です。仕事を義務だと考えると苦しさが先にきます。楽しむ気持ちを根本に抱いて仕事をすれば、賛同者が少なくても、とことん考え抜いた新しい価値のある仕事ができます。

旧ナムコには従業員向けの手帳がありました。その冒頭に「適正規模は1000人とする」と書かれていた時期がありました。理由は「俺の目が行き届かなくなるから」だそうです。中村さんは商品の世界観など、ちょっと異常なほどにこだわりを持っていました。何事も自身で見て判断したかったのでしょう。

今やグループの従業員数は7000人を超えましたが、カリスマ創業者の意志は私から後任の田口三昭社長にと受け継がれ、今のバンダイナムコグループに浸透しています。

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[日経産業新聞 2018年10月26日付]

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