あえて「尋ねない」心遣い 質問攻めはコミュ力と違う

「頑張ってるか」にもパワハラのリスク

上司が部下を気遣ったつもりの「頑張ってるか」の問いかけでさえ、一度や二度なら「ありがたい励まし」で済むかもしれないが、度を超すと、逆効果になる。「問いかけ」は部下の精神的苦痛を生み、結果として「パワハラ行為」と受け止められてしまう心配すらある。

気遣いを示すには、「質問することや問いかけることが有効だ」と勘違いするのは、危うさをはらむ。くどいぐらいに質問を重ねたり、個人の好みや思いにまで踏み込んだりすれば、かなりの確率で嫌われる。

「連休は何をするの? 旅行とか? えー! どこにも行かないの? どうして?」

「猫飼ってるの? そうなんだあ。でも、なんで犬じゃないの?」

場をなごませるつもりで発した質問が、会話を促進して、豊かなコミュニケ-ションを生み出すとは限らない。逆に、尋ねられた側の口と心を閉ざしてしまうこともある。どんな人にも「問わない気遣い」を求めたくなる場面があるものだ。

愛犬との悲しい別れ

3年前の夏のことだ。当時飼っていた13歳のトイプードルが夏バテから体調を崩し、何度か危ない事態を迎えたが、深夜の救急病院や近所の動物病院のお世話で持ちこたえていた。しかし、「その日」は訪れた。

私は仕事先で打ち合わせをしていた。着信音を消したスマートフォンの振動を感じ、チラッと見たら妻だった。私に電話することなど滅多にない妻からだ。

「よほどのことがあったのだ。ひょっとして」――。周囲にわびつつ席を外し、電話に出たら、彼女が絞り出すように言った。

「ルルちゃんが、死んじゃった……(泣)」

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧