我が師・上岡龍太郎 そして高橋英樹と愛川欽也の教え
俳優の高橋英樹さんは確定申告のPRに長年協力していることでもおなじみだ
40代初めのことだった。「梶さん(=梶原しげる)、上岡龍太郎さんの司会する番組でレギュラーが決まりました」と事務所から伝えられた。関西ナンバーワン司会者が東京に進出。あっという間に全国的なスターとなり、番組を次々にヒットさせ、その勢いに拍車がかかっていた頃だ。
願ってもない朗報に「わあ、やった! ありがとうございまーす」と反応するのが当たり前のところだが、へたれな私はちょっと違っていた。「できれば避けたいなあ……(ため息)」。テレビで見る上岡さんの印象は、気の小さい私にとっては「下手に近づいたら、切れ味鋭い毒舌でけがをさせられる、いや、抹殺されるかもしれない」と感じさせるに十分な「恐ろしい存在」だったからだ。
最高に楽しかった、上岡さんの楽屋
実際、初対面のその日、運悪くTBSの廊下で上岡さんとたまたま二人きり、という「最悪な事態」が生じてしまった。無言のままというわけにもいかず、おそるおそる声をかけた。
梶原「このたび、ご一緒させていただきます梶原しげると申します。よろしくお願いします」
上岡「君はアナウンサーか?」
梶原「はい!」
上岡「僕はアナウンサーというのが大嫌いなんだ」
梶原「す、すいません」
上岡「でも、君は、ひょっとしたら、ちごうてるかもしれんなあ(にやり)。じゃ」
たったこれだけのやり取りで、めまいがした。
ところが、番組収録前、楽屋で行われる出演者打ち合わせは、意外なことにとびっきり楽しいひとときだった。番組の段取りはほぼすっ飛ばし、上岡さんを中心に、その時期に旬なニュースや、上岡さんが目で見て感じた出来事をテーマに、みんなでワイワイと座談に興じることが多かったのだ。