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生地の柄、染めずに印刷 アパレルに「在庫レス」革命 セーレンの川田達男会長

2019/6/30

セーレンの川田達男会長兼CEO

ファッション衣料の染色加工などを手がけるセーレンが、アパレル業界の課題である過剰在庫の削減につながるシステム提供に乗り出す。インクジェット方式の生地印刷を活用することで、衣服のデザインから生地の製造、縫製までを短納期で実現できるのが特徴。多品種・小ロットの生産が可能となるため、川田達男会長は「業界の常識だった大量生産から脱することができる」と強調する。

■試作品作らず多種少量生産

――セーレンはアパレル企業などに自社で染色した生地を販売しています。在庫レスを目指したシステム提供に乗り出す理由は。

「アパレル業界の常識では、売れるかどうか分からない商品でも大量生産してきました。その結果、作った衣料品の半分しか売れず、残りは棄却されていました。一説には、年間15億点の過剰在庫があるとされます。一方で消費者の価値観は明らかに変わり、資源の無駄遣いにつながる消費を嫌うようになってきた。アパレル業界の常識を覆す時期に来ており、そのためのシステムが必要だと判断しました」

「提供するシステムの名称は『ビスコテックス』。コンピューター上で企画した衣料品の形や色柄に合った生地をインクジェット方式で印刷して作るため、多品種・小ロット生産が可能となります。生地の縫製はセーレンの工場で請け負えるほか、アパレル企業の協力工場にも対応できます。試作品を作る手間がなく、約3週間の短納期。欲しい商品を、欲しいときに、欲しい分だけ作ることができます」

――アパレル企業の反応は。

「昨年12月中旬の展示会で発表したところ、例年以上に経営者の来場が多かった。経営レベルで在庫レスへの意識が高まっているのでしょう。大手アパレルも含めて約50社から引き合いが来ており、まずは5社程度にシステムをリース方式などで提供していきます」

「ビスコテックスによる衣料品製造の流れは、アパレル業界の常識とは真逆の発想です。従来は生地を選んだ後、衣料品のデザインや生産量を決めていました。代表例が、SPA(製造小売業)です。ただ、棄却コストは衣料品の価格に反映されることが多く、消費者は棄却費用を負担していることになります。ビスコテックスで、利益重視だったアパレル業界の経営者の意識をさらに変えていきたい」

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