マニュアルで防げるか?議員失言 お寒い「見識」映す

マニュアルは失言を減らせるか?

追い打ちをかけるように「失言大魔王」が、また、やった。桜田義孝五輪大臣(当時)は、東日本大震災で被災した岩手出身の高橋比奈子議員のパーティーで、場の空気に飲まれたのか、それが本音なのかはしらないが、とんでもないことを口にした。

「復興以上に大事なのは、高橋さんです」

「(被災した石巻市を)いしまき市と連呼」「パソコンは自分で打たないからサイバーセキュリティーは問題ない(との趣旨)」「(白血病と診断された池江璃花子選手、東京五輪の出場が難しそうの報に)ガッカリした」までは我慢した官邸だったが、事実上の更迭となった。

このあたりから「失言再発防止の具体策を示さないと、参院選は戦えない」と危機感を抱いた党が知恵を絞った苦肉の策が、いわゆる「失言防止マニュアル」だったのだろう。メディアは予想通り、「マニュアルで失言が防げるか?」と冷ややかな論調だ。

「マニュアル頼みの付け焼き刃ではなく、議員の人格陶冶、個々の議員の質の向上が望まれる」。この期に及んでこんな「無理難題の建前」を口にする人に耳を貸す余裕は自民党にはなかった。失言は支持率を下げ、選挙どころか、政権維持さえ危うくする。

他党ではあるが、丸山穂高議員の「北方領土を戦争で取り返す」発言が外交問題に発展しかねない状況も不安をさらに募らせただろう。

「マニュアル=悪」は早計か

そもそもマニュアルとは「状況に応じて、どう対応すべきかを体系的に示す手引き書」のことを指す。manualのmanuはラテン語の「manus=手」が語源だ。

manufacture →「手で作る→製造する」manuscript→「手で書いたもの→原稿」

manageだって「自らの手でしっかり管理し、対処する」と学校で習った気がする。manualもその親戚みたいなもので、「手を使う・身体を使う・汗を流す」と考えれば、そんなにネガティブにとらえることもない気もする。

自民党発行の、いわゆる「失言マニュアル」には「周囲の喝采に引きずられると、つい『公で言うべきではない』ことを口走る可能性があるから気をつけよ」的な記述がある。この部分だけでも読んでおけば、塚田一郎氏も、桜田義孝氏も「あんなこと」をして、国民の政治不信を高めることはなかったかもしれない。

同じくマニュアルにある「日頃の言葉遣いを第三者にチェックしてもらいましょう」を読んでおけば、丸山穂高氏の政治家としての未来も変わっていた、かどうかは、わからないし、知りたくもないか。

※「梶原しげるの「しゃべりテク」」は毎月第2、4木曜掲載です。次回は2019年6月27日の予定です。

梶原しげる
1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーに。92年からフリー。司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員。著書に「すべらない敬語」「まずは『ドジな話』をしなさい」など。
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