両手が自由になるアクティブさから、リュックは職場でもよく目にするようになった。服装のカジュアル化や自転車通勤の広がりなども人気を後押しする。売り場の品ぞろえは増す一方で、アウトドア用やスポーツ用の製品もビジネススタイルに取り入れる人が増えた。今やビジネスバッグで定番化した感のあるリュックだが、気をつけるべき点がある、と服飾評論家の石津祥介さん。松屋紳士部MD課長の鈴木健一さんに売れ筋を聞きながら、服装との相性を見ていこう。
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■リュック合わせるならジャケット&スラックス
――仕事で使うことを想定したリュックが増えていますが、ビジネススタイルにはどう合わせるのがよいでしょうか。
石津「正直に言いましょう。僕はダークスーツには、リュックはいかがなものかと思いますね。リュックは便利なかばんですから肯定しますけど、本来はスポーツ用品だということを忘れないで。リュックを合わせるならば、セパレートスタイルの時だな。ジャケット&スラックスの時にリュックを持つのがいいですよね」
鈴木「ダークスーツにリュックはおすすめしたくないというのに私も賛成です。松屋の社員でもジャケット&スラックスにリュックというスタイルが多いです。40代前半の営業課長もいつもリュックを合わせています。エンポリオ・アルマーニやヒューゴ・ボスといったブランドでも、同様の提案が増えてきています」
――こちらの売り場でもリュックは3割くらいあるとのことです。ビジネスを意識したタイプでおすすめは。
鈴木「こちらはエースのもので、満員電車でも邪魔にならないほどの、薄いマチが特徴です。薄くても収納力があってパソコンやボトル入れがあり、座って膝に置いたときでも出し入れしやすくなっています。リュックではパソコンの入れ場所は必須。吸水・速乾に富む素材の使用事例も広がってきました」