石津祥介のおしゃれ放談

かばんの王道、ダレス・バッグを知っていますか 令和元年のビジネスバッグ(上)

2019/5/16

鈴木「日本のメーカー、林五(はやしご)の製品です。カーフで上質な素材ですが、重量が抑えられて持ちやすい。医師や弁護士に限らず、この形を求めるお客様はいまでも結構います。こうしたお客様はスーツにもこだわりがあって、バッグも正統派でいきたいという方が多いですね」

石津「かばんの王道だね。三つぞろいスーツとソフト帽に似合う感じ。黒革に金の金具が定番ですが、茶色の革やシルバーバックルもいいね」

「松屋銀座ではいまでもダレス・バッグを求めるお客様が多い」と話す鈴木健一さん(左)と石津さん

――ダレス・バッグ以外にも、男性用かばんでこれまでブームとなったものはありますか。

石津「メンズバッグで人気が出たものといえば、キャンバス地のトート・バッグだね。歴史的には1900年代半ばに、アウトドアで水や氷を持ち運ぶものとして、エルエルビーンが開発したんだ。それを米国東海岸の学生が通学用に使い始めて人気に火が付いた。やがてアイビールックの流行とともに日本でもブームとなったんだよ。その後、コーチなどの高級ブランドがレザートートを発売し、今では通勤でもショッピングバッグでも多くの人が持つようになった」

――女性の通勤バッグでも大半がトート・バッグですし、今は男性でも持つ人が増えました。

石津「トート・バッグは何でも入れられる。万人受けするバッグはやっぱりシンプルなのが一番で、内ポケットが1つあるくらいがちょうどいいんですよ」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

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