承認欲求に副作用あり 上司にほめられかえって重荷に

「褒めて伸ばす」は時にプレッシャーに転じかねない。写真はイメージ =PIXTA
「褒めて伸ばす」は時にプレッシャーに転じかねない。写真はイメージ =PIXTA

このところ、メディアで見聞きする機会が急に増えてきた言葉に、「承認欲求」がある。私も会員である産業カウンセラー協会が発行する会報誌「JAICO」は2019年2月号で「インターネットと承認欲求」を特集。承認欲求の光と影について言及している。

長年にわたり、「働く人たちの人間関係にまつわる問題」を、主として「マンツーマンの傾聴技法」で解決に導いてきた同協会。近年の「ネットが職場に与えるインパクト」と真摯に向きあう姿勢を明確に打ち出している。

心理学者のマズローが提唱した「欲求5段階説」で説明される承認欲求は、スマートフォンやSNS(交流サイト)が今ほど一般的でなかったころは、あまり人々の話題に上がることがなかったと記憶する。少なくとも、「自己実現欲求」のほうが広く知られていただろう。

「自己実現欲求」とは、「個人的な目標を達成して、満足できる自分になること」を指す。2000年前後、ビジネス界・教育界を中心に盛んに使われた、当時の流行語でもあった。

「バイトテロ」の誘因として関心集める

ところが、この数年、とりわけ「インスタ映え」がユーキャン新語・流行語大賞に選ばれた17年あたりからは、圧倒的に承認欲求のほうが頻繁に耳に入ってくるようになった。その定義を「自信・能力・達成など自尊心に関する欲求と、名声・地位など他者からの承認を求める欲求から」と記したマズローも、承認欲求が「バイトテロ」の誘因になるとは想像しなかっただろう。

今回は承認欲求の「負の側面」を斬新な切り口で語る、1冊の本を紹介したい。『「承認欲求」の呪縛』(太田肇著、新潮新書)だ。

「負の側面」と言っても、「承認されたい気持ち」を暴走させて、とんでもない事件を引き起こした「愚かな人たち」について語るのではない。むしろ、「承認されてしまうことで苦しむ、弱い立場の心優しい人々」についての話だ。

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