「わたし」はどんなリーダーなのか?~G1カレッジ代表になるまで
「わたし」が生まれた、横須賀(8)
こんにちは、八村美璃(はちむら・みり)、略してはちみりです! 長らく連載が更新できず、申し訳ありません。 前回の記事では、ヨコスカネイビーパーカーの活動も終盤に迫る中、ハタチを境に横須賀から飛び出し、G1カレッジ運営チームへの加入を決意したことについてお話しました。今回からは、学生生活において二兎も三兎も追う中で、わたしが「リーダー」としての自分を探究していく様子をお伝えしていきます。
「MTG」って、なんだ?
それまでのわたしは、全国規模のチームで活動をしたことはありません。動いた最新のチームは、横須賀で活動したネイビーパーカー(第3回記事)。しかもメンバーは全員、高校の同級生でした。
一方、G1カレッジの運営チームは10人以上。起業家や学生団体のトップ経験者など、選りすぐりのリーダー達が集結している。全国各地、中には海外に滞在しているメンバーもいたので、MTG(ミーティング)の仕方や連絡の取り方ひとつ比べても、ネイビーパーカーとは大きく異なりました。使ったことのないアプリ、知らない横文字の単語の数々...。チーム全員でひとつのパソコンを眺めながらパワーポイントを作っていた頃のわたしでは、通用するはずもありません(笑)。最年少メンバーとして、まるで特技であるピアノの耳コピをするかのように、先輩の仕事の進め方をその場でどんどん吸収しながら、何とか食らいついていきました。
「新しい組織で、どのように自分の色を出し、貢献していくか」。一人一人が自分の活動領域を持ちつつ、同時に運営メンバーとしての仕事をやり遂げるプロ意識の高いメンバーたちの中で、果たして自分が発揮できる価値は何であるのか、しばらく模索しました。また同時に闘っていたのは、欲張ることで、どの活動も中途半端になるのではないかという恐怖。二兎も三兎も追うスタイルは変わらず、学校やアルバイト、奨学金の活動などに精を出す日々の中で、「初めての一人暮らし、料理がんばろう♪」なんて意気込みはどこへやら、気づけば儚く散っていました(笑)。
カオスの中の遊撃手
そんなある時、運営チームの中で、最大の山場を迎えました。チーム全体に漂っていたのは、「このまま結果がついてこなかったらどうしよう」という焦り。想像を超える難所は、参加者としては見ることのなかった裏側そのもの。戸惑っていたわたしも、当時、他にも結果を出さねばならない挑戦がいくつも重なり、「自分がもうあと2人欲しい」と切羽詰まっていました。しかし、そんな時こそ自分が試される。これまで培われてきた感性、そして「もしも」を「本物」に変えようと、仲間と幾度も乗り越えてきたネイビーパーカーでの経験が、今が勝負だと囁いている気がしました。
そこからわたしは、「必ず結果は後からついてくる。だからこそ、今やるべきことをひたすらやろう。一緒に乗り越えよう」という湧き出る想いを、メンバーに全力でぶつけていきました。飛び抜けた仕事スキルがある訳ではないわたしが、言葉だけではなく、自分が一番にその想いとメンバーを信じて、ひたすら実行する姿を見せることが、今、自分にできることだと考えたのです。
嵐がすぎた後、蓋を開けてみれば、メンバーの不安とは裏腹に最高の結果がついてきました。ほっとした達成感に包まれる中、とある運営メンバーが当時のわたしの姿に対して抱いた印象が、人づてにわたしの元へ舞い込みました。
「はちみりの強さは、どんなカオスな状態でも戦える遊撃手のようなところ。どんなに難しい立ち位置でも、あらゆる重圧を跳ね返す強さをリーダーとして活かして欲しい」。その言葉を聞いて、嬉しくて涙が出そうになったことを、よく覚えています。「自らの感性でみんなを巻き込む」(第1回記事)、その力こそが、自分を創生するだけでなく、リーダーとしても活かすことができる価値なのだと、気づかされた経験でした。
「代表になるのは、お前しかいない」
最終的に、わたしは運営チームの一人として、これまでの状況であれば出会えなかった人や、得られなかった視点や経験というお土産を、たくさん持ち帰ることができました。当日では、前夜の参加者の集まりで司会を務めました。トラブルもある中、メンバーに支えられて、何とか持ち前の即興精神で盛り上げることができたのも、今では良い思い出です。
また、運営である前に一参加者としてG1カレッジ当日に参加する中で、「何者でもないことが学生の特権だと言われる。だけど、どこで、誰と何をしていても、いつまでも自分自身でいられることこそ自分自身の特権だ」という気づきが、この一年間で確信に変わったことを実感しました。
「次は、どこで、誰と、何に挑戦しようか」。G1カレッジで得られたものを別の舞台に繋げようとしていた矢先、新しい春の前にわたしの元へ訪れたのは、G1カレッジ運営代表のポスト。
「代表になるのは、お前しかいない」。そう言って、前代表が力強く手渡してくれたバトンを、直感だけで受け取ることはできませんでした。もう、ただ目の前のものを欲張る時期は過ぎた――。大きな決断に心が揺れた、ハタチの冬でした。
次回も、どうぞお楽しみに!
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