やりたいことがわからない時こそ やる事を決める
みんなの食事(7)
会社員、個人事業主、会社役員、アルバイト、この4つを同時にしていた時期もありました。意識はしていなかったものの、所謂"パラレルキャリア"です。社会人になってからは基本的にこのパラレルキャリアで過ごしてきたので、今もしパラレルキャリアを検討されている方がいたら何か少しでも参考になったらいいなと思い、私がパラレルキャリアをしてみて感じた、良かった点をまとめてみたいと思います。
パラレルキャリアをしてみて感じた、3つの良かったこと
時代が大きく変化している中で、"一つのことだけやっていても今後は食べていくことが難しい"と言う意見も聞く中で、幾つかのキャリアを同時に持つということはこれからの時代の、大切な一つの選択肢になるのではと思っています。
私自身がパラレルキャリアをしてみて良かったと感じた点は、「(1)思考を上手に切り替える癖がつく」「(2)仕事同士の相乗効果が出てくる」「(3)働く環境を客観的に見ることができる」ことかな、と思います。
「(1)思考を上手に切り替える癖がつく」に関しては、本来私自身が特に苦手意識があったことなのですが、物凄く訓練された気がします。例えば1日の中で、会社員をしている企業の営業準備をして、勤務後の移動中に、自分の活動内容についてのプレゼン資料を作りながら、個人事業主とし頂いている仕事の打合わせに向かうというような日々が基本の毎日です。
勿論業種も違えば内容も違う、準備するものや必要な事前調べや勉強内容も違う。その中でなんとか形にしていこうとすると、自然と思考の切り替えが少しずつ早くなっていったように思います。もっというと、物事を横断して思考する意識や工夫をするように努めるようになっていきました。こんなこと自信を持って書けるほどのスキルはないですが(笑)この働き方だからこそ、少しは鍛えられたのではと思うスキルのひとつです。
「(2)仕事同士の相乗効果が出てくる」に関しては、言葉の通りで、仕事をする上で共通で必要なスキルは勿論、分野は全く違うけれど、考え方や手法が上手に活きたことも勿論ありました。
そして何よりも、「(3)働く環境を客観的に見ることができる」という点に関しては、非常に良かったことだと感じています。仕事が変われば、そこに関わる人・コミュニティも変わります。企業をはじめとするコミュニティは、良い悪いに関わらず、そこに流れる空気や仕事の仕方や文化が必ずあります。勿論自分自身に合う、合わないもありますし、それぞれに良い所も改善したほうがいい、と感じるところもあります。パラレルキャリアで過ごしていると、そういった事を客観的に見ることができます。人間関係なども客観的に見ることができるので、必要以上に悩みすぎる事もないですし、別の組織で出会った素敵な文化を、他の文化にもシェアできるのは魅力のひとつだと思います。
メリットばかりを並べましたが、勿論デメリットも感じました。一番は、やはり時間の制限でしょうか。仕事の制限もそうですが、キャリアを積み重ねるということは、ただ単に仕事をするだけではなく、そこに必要な勉強時間や人とのコミュニケーション等様々な要素が含まれていると思うのですが、ひとつひとつの仕事に対してどうしても制限時間は設けられてしまうので、「もっと仕事したい!もっと勉強したい!」等、もどかしい思いをすることがとても多くありました。
社会人6年目、2度目の独立
パラレルキャリアを経て、キャリアの再スタート。勤めていた会社を退職し、Mealinkの事業化にチャレンジして1年以上がたちました。学生時代から全員ボランティア活動として関わっていた形から、少しずつ事業や雇用に挑戦ができるようになってきました。
独立は2度目、それなりに準備してきたつもりでしたが、やはり大変なことも多いです。いや、非常に多いです(笑)。それでも、様々な方に支えられながら、今なんとか歩みを進めています。そして、10代の時に言っていた「Mealink、食事(Meal)が様々なものに繋がっている(Link)意識を持ってもらいたい!」という気持ちは更に強くなっています。少しずつですが、知識がつくと夢も大きく描けるようになり、進むごとに新しい課題も増え、それを乗り越える仲間と出会い、行ったり来たりしながら、想いを形にできるよう日々仲間と共に奮闘しています。
やりたいことが見つからないと思う人へ
学生時代からの活動を法人化して続けているということを話すと、よく学生さんから「やりたいことが見つからないから将来が不安」「ひとつの事があまり続かない」という相談を受けたりすることがよくあります。勿論一人一人境遇が違うので、これが正解という答えはないと思うのですが...。
私からもしなにか言えることがあるとしたら、「やりたいことがわからない時こそ、一定期間続ける事を"一旦決める"のもアリなのでは」ということです。自分に向いていることや、自分にできることを見つけるって本当に難しいことだと思うのです。
私自身は、なにか特技があるわけでもなければ、これが私には出来ますと自信を持って言えるものが今も昔も正直ほとんどありません。実際、今までに合わなくてやめてしまった仕事も沢山ありましたが、節目・節目で、取捨選択しては「これとこれは続けてみる」等自分なりのキーワードをみつけて、少なくともその分野で3年以上は続けてみるようにしてきました。個人で関わらせて頂いている研修のお仕事や日本酒のお仕事は6年目、10代で活動をはじめたMealinkはもうすぐ10年目を迎えます。振り返ってみて思うのは、続けてみたから出会える人や見える世界、生まれてくる興味関心がありました。
なにか得意分野があるひとはそのまま突き詰めることできます。しかし、そういったものが特別なにないような私でも、様々な経験や原体験から"コレ"を決めて一日でも多く進めていくと、それがそのままキャリアになることがあります。そして、それがいつの日が強みになっていくことがあると思うのです。「やりたいことがわからない時こそ、一定期間続ける事を"一旦決める"」そんな選択肢もあることをお伝えできたらと思います。
最後に...連載の第1回目の私は、社会人4年目の25歳、今は社会人6年目の27歳になります。このサイトをご覧の方は、大学生の方も多いかと思いますが、大学を卒業して暫くした私も、いまだに日々キャリアについて、生き方について悩むことがあります。それでも、腐らず前向きに、お互い一歩ずつキャリアを積んでいけたら嬉しいです。拙い文章に、お付き合いいただき本当にありがとうございました。
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