――広告とは違うのですね。

どの投稿でも押しつけがましさを感じさせないことが重要です。一般の人が自分自身の体験として語っているところが共感のポイント。TikTokでは人気者の小学生の画像を店頭で示し「この服が欲しい」という人もいます。小学生が服を宣伝しているわけではなく、ただ着ているだけで販売につながります。

一般に撮影を禁じていた商業施設や美術展でも、最近は「インスタ映え」を狙って撮影スポットを設ける動きが広がっています。普通の人による自然な拡散を期待しているのです。

――最近は「SNS疲れ」とも聞きます。

JTB総合研究所の18年の調査では「SNSの利用頻度を減らしたりやめたりした」人が過去3年で増えました。「いいと思わなくても『いいね』をつけた」人も増加。面倒くさいと感じる人も多くなっているようです。

一方で「SNSでいいと思ったものを購入した」「SNSで行ってみたいと思った場所に行った」という回答も増えました。自ら投稿しなくても、情報源としての存在感は強まっています。

最近は、インスタグラムを使う中高年が増えています。JTB総研が年代別に利用動向を調べると、60代男性のうちインスタグラムをスマートフォンで利用する割合は16年には7%でしたが、18年には23%に増えました。50代男性も16%から28%に、50代女性は13%から25%に増加。男性が多いのは定年後の生き方探しの表れかもしれません。

人口が多く経済的に比較的ゆとりがあると考えられる中高年が本格的に使い始めると、SNS消費の裾野はさらに拡大しそうです。

ちょっとウンチク

心満たす「ワンショット消費」

SNSの普及で、ファッションでは新しい「ワンショット消費」が生まれている。買った服を着て自撮りした写真をインスタグラムなどに投稿。その後、すぐメルカリなどフリマに出品する。ほぼ新品なので高く売れる場合が多い。

ワンショット消費で満たされる欲求とは何か。たとえば1万円の服を買い、5千円で売れたとする。すてきな服を探して見つける喜びや「いいね!」をもらえる承認欲求、投稿前後の高揚した気分――これらを正味5千円で買うのだ。消費の目的が「所有」から「利用」へと移りつつあり、人とモノの関係が薄くなっている。(編集委員 大岩佐和子)

篠崎 祐穂さん フリーランス。断捨離に取り組んでいる。洋服は収納場所がもたついてきたら捨てる。本は気に入ったものだけ残す。「迷ったら、捨てるまで1週間ほど袋に入れて寝かせます」

 鈴木 正美さん 生保勤務。コーチングを勉強中。悩む人に多方面から質問し、答えを自分で見つけてもらう。1年以内に起業するのが目標。「普通の人が、なりたい自分に近づく手伝いをしたい」

[日本経済新聞夕刊 2019年1月21日付]

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