ライフコラム

梶原しげるの「しゃべりテク」

「袖を通してスイッチオン」 服装はあなたを語る

2019/1/10

■入学式には絶対間に合わせる

「採寸場面」に数多く立ち会った、有吉さんの上司、早田晃さんにも話をうかがった。

早田「多くのお子さんたちは採寸を通して、自分の身体のサイズを知るだけでなく、目の前の鏡に映る自分をしみじみ見つめ、自分とは一体、何物なのだろうかと考える、人生で初めてのチャンスに巡り会うのかもしれませんね。親御さんにとっては、我が子の成長を実感する瞬間です。思ったより大人に成長していた子供が次の人生のスタート地点に立てた。そんな記念すべき場面ですから、私たちは『おめでとうございます』と声をかけるんです」

採寸が貴重な「人生の通過儀礼」に思えてきた。

梶原「特に高校生の場合なんかは、合格発表から入学式までって、意外と短いですよね。間に合わないケースも出てきますか?」

早田「絶対にありません。どんなことをしても入学式の前の日までに、必ずお納めします。入学式に自分だけ制服を着られないことがお子さんや親御さんの心に与える影響を考えたら、どの業者さんもそうだと思いますが、間に合わないなんてありえません。最近は外国人の生徒さんの場合、想定した規格をはるかに超えるケースも珍しくありません。そういう場合も、もちろん、どんなことをしても入学式前日にお届けします」

■制服のメリットとデメリット

制服については様々な議論がある。「普段着で済めば支払う必要のない出費を別途強いられるのは辛い」「着たい服を着るという自由や個性を奪っている」「軍隊でもあるまいし、同じにそろえる必要があるのか?」「ファストファッションの店でそろえたほうが簡単でリーズナブル」――。

その一方で、「毎朝、何を着せたら良いのか、着たら良いのか、迷わなくて済む」「着るものが別々になると、子供の洋服で貧富の差が浮かび上がる」「3年間同じ物を着続けられるのは長い目では安上がり」「身内の結婚式や葬儀など公的な場面でも、制服があればそれで対応できる」といった意見もある。

どちらの言い分にもそれぞれ一理ある気がする。「服育研究員」に洗脳されたからではないが、彼女が紹介してくれた、制服着用の生徒作の「標語」には大いに共感した。それは「制服に、袖を通してスイッチオン」というものだ。

制服派であろうと、非制服派であろうと「着るもの」にはコミュニケーション、自己洞察を促す力があることを認めざるをえない。そして、モチベーションを高める「スイッチオン」の働きもばかにできないものだろう。

※「梶原しげるの「しゃべりテク」」は毎月第2、4木曜更新です。次回は2019年1月24日の予定です。

梶原しげる
1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーに。92年からフリー。司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員。著書に「すべらない敬語」「まずは『ドジな話』をしなさい」など。

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