問題解決というと、完全な解決策を求めるあまり、どうしても「やるべきこと」や「やらねばならぬこと」を「やらなければいけない」と思ってしまいます。英語で言えば、ShouldやMustに当たります。

 ところが、そのせいでやる気にならなかったり、やるのを諦めたりしたのでは、何の解決にもなりません。完全な解決を求めて何もやらないよりは、「やりたいこと」「やれること」を着実に進めたほうがはるかに得です。そう考えて、Will、Canを探そうというのがポジティブ・アプローチです。特に、人の意欲や行動が問題になっているときに効果的です。

自分の経験に勝る資源はない

 では、実際にどうやって問題を解決していくのか。分かりやすいやり方を一つ紹介しましょう。先ほど述べた「なかなか痩せられない」という悩みを例にして。

 まずは、解決したい問題を定義します。「痩せられない」ではなく「痩せたい」とポジティブ(肯定的)に表現します。そうしないと、どこに向かっていくのか分からなくなります。あわせて、どれくらい痩せればどんな効用(ベネフィット)があるのか、理想のありたい姿を明らかにします。そうすることで、問題解決の本当の意味を明らかにしていきながら、問題に取り組む気分を高めていきます。

 次が最も大切なステップです。おそらく本当に痩せたいと思っているのなら、今まで何もしなかったということは考えられません。問題解決に取り組んだ過去や現在の事例があるはずです。自分が持っていない外のものに解決を求めるから苦しくなるのです。そうではなく、既にあるものや自分の中に求めるようにしましょう。

 なかでも経験は一番の資源となります。例外でも偶然でもよいので、何かうまくいったことはないか、どうしてそのようなことができたのか、どんなささいなことでもよいので過去の成功事例を集めて掘り下げていきます。それは解決アイデアを考えるヒントになります。

 その上で現在の到達点を確認しておきます。目指す姿を100点満点だとしたら、今はどれくらいできているか。現状の到達点を明らかにします。スケーリングと呼ぶ作業です。

小さな変化が大きな変化を生み出す

 仮に現状が60点だからといって、あと40点稼いで100点満点を目指したのでは、初回に紹介したギャップ・アプローチになります。そうではなく、あと1点でもよいから、目標に近づくためにできることを考えます。

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