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暮らしを変えた立役者

バブル消え「飛ばし」トラブル 損失回避へ深夜の交渉 すかいらーく元社長 横川竟氏(17)

2018/4/20

コスモ証券の「飛ばし」は社会問題になった(1993年、同社の記者会見)

 すかいらーく元社長の横川竟(よこかわ・きわむ)氏の「暮らしを変えた立役者」。第17回はバブル期の証券取引を巡るトラブルを語ります。

◇  ◇  ◇

 日本フードサービス協会(JF)の会長職は、2006年5月まで3年間務めた。その任期を終えた直後、すかいらーくがMBO(経営陣が参加する買収)を実施した。遠因になったのはバブル期の無駄な投資だ。まず、さかのぼること1990年代初め、コスモ証券(現・岩井コスモ証券)との間で起きた「飛ばし」問題を話しておきたい。

 飛ばしとは含み損のある有価証券を企業から企業へと転売する行為だ。バブル崩壊後、株価が低迷するとこうした行為が相次ぎ、世間の話題になった。転売先からは通常、市中金利より高い金利をつけて買い戻す。だが損失幅が大きくなると、転売は難しくなる。トランプのババ抜きゲームでたとえると最後の買い手がババを引き、大きな損失を抱え込む。

 「大変なことになった」。ジョナサンの社長をやっていたとき、次兄の茅野亮(たすく)から夜11時に呼び出しがかかった。すかいらーくはコスモ証券から数百億円の有価証券をいったん購入し、次に転売するはずだったが、金額が膨らみすぎてできなくなったという。まさに飛ばしのババを引く羽目になり、民事調停にまで発展した。そして交渉役は、また私が引き受けざるを得なかった。

 証券会社は当初、「半分だけを負担してくれないか」と要請してきた。まず私は突っぱねた。その後も交渉を重ねていたが、あるとき当社側の他のメンバーが一定の損失を負担することで妥協しようとした。だが「責任は相手にある。強気に出れば、こちらの負担はゼロになる」と踏んだ。

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