働き方改革の目標設定 社員のやる気はなぜ起きない?
第11回 適切な目標を設定する「SMART」
何を目指して働き方改革をするのか?
(1)職場の残業時間の総計を20%削減する
(2)今年度中にテレワークを全社に導入する
(3)5年後に働き方改革のNo.1企業になる
(4)全社員が今年度の有給休暇を100%消化する
答えは「4つとも」です。いずれも目標設定の表現としては、好ましくありません。
(1)は一見何も問題がないようにみえます。ところが、「いつまでに」という達成期限が述べられていないのが残念なところ。それがないと目標として使えません。
(2)はテレワークという言葉の意味があいまいでよく分かりません。具体的に表現しておかないと、どんな姿を目指すのかつかめません。ささいなことでお茶を濁し、「できた」と言い張ることもできます。
(3)は勇ましくてよいのですが、どうやって「No.1企業」を判断するのでしょうか。基準や要件を決めておかないと、進捗のチェックも目標達成の判定もできません。
(4)はここまで述べてきたことをすべて満たしています。唯一心配なのが、本当にそんなことができるのか、です。一人ひとりいろんな事情があり、全員100%はかなりむちゃな気がします。他は一切考慮せず、数字合わせに奔走する事態になりはしないか心配です。
SMARTに目標を設定しよう
チーム(組織)とは、共通の目的を持った集団を意味します。その力を引き出すには、どのような目標を設定し、いかに共有するかが大切になってきます。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)社が考案した「SMART」は、目標設定のフレームワークとして、多くの企業が採用しています。Stretch(背伸びをした)、Measurable(測定可能である)、Achievable(達成可能である)、Realistic(現実的である)、Time-related(期限がある)の頭文字をとったものです。
ポイントは大きく2つあります。1つは、何を、いつまでに、どの程度までやるのか、具体的に設定することです。「○○までに△△を□□だけ増やす」といったように、定量的に表すことが好ましくなります。
高すぎる目標が不祥事を生み出す
もう1つのポイントは、目標のレベルです。